経営者が交代すべきタイミングとは?~中小企業白書からの考察

経営者交代のタイミングとは 事業承継

最近の中小企業経営者の傾向

この4月に発刊された中小企業白書(2016年版)には、かなり刺激的な記載がありました。一部ご紹介します。

「第2-6-44図 経営者の年代別に見た今後3年間の投資意欲」(P.461~2)では、「全体的に高年齢化に伴い、投資意欲の割合が低下していく傾向があることが分かる。」

「第2-6-45図 経営者交代有無別に見た経常利益率の推移」(P.462~3)では、「『経営者の交代あり』の企業は、『経営者の交代なし』の企業に比べ、経常利益率の上昇幅が大きいことが見てとれることから、経営者の交代が企業の収益力に寄与していることが示唆される。」

との記載があります。

これは、中小企業庁が勝手な思いでまとめたものではなく、中小企業に対するアンケート結果という、ある一定の事実をもとに分析したものです。

この2つのデータを見て、なぜこのような結果になったのか、また今後、経営者が意識すべきことは何か、ということについて、改めて考えました。

これからの時代、経営者が意識すべきこととは?

私自身、セミナー講師をさせて頂く際、戦後の高度成長時代と今の時代では何が違うのか、をよくお話させていただきます。

決定的に違うのは、環境変化が著しいことです。
それを促進しているのが、IT技術とインターネットです。

今もこれらは日進月歩で発展しています。
IT技術、例えばパソコンが廉価かつ高性能になり、グラフや関数が手軽に活用できるようになった結果、膨大なデータから、経営上意味ある数字を簡単に引き出すことができます。

また、インターネットの発達により、膨大な量の情報を安価に収集することができるようになりました。いち早く時代を先読みし、その環境変化に対応していける企業が、生き残れるのだと思います。

すなわち、過去の成功体験だけでなく、今の時代にフィットした感性で経営をしていくことがより重要なのです。

環境適用ができるよう自社を分析し、勝負する事業領域を考え行動していくためには、新しい感性が必要だということなのです。
それが、この中小企業白書でいう「経営者交代」ではないでしょうか。

逆に言えば、常に新しい感性を持ち続け、時代の先読みができ、実行できるのであれば、交代の必要はないということだと思います。

実は事業承継とは、社長の年齢で決めるものではなく、このように新しい時代の流れを感じることができる人が経営を実行し続けるかどうかという視点で決めていくべきだと思っています。

アタックスグループは、事業承継のための計画策定から後継者・幹部社員の育成、自社株対策まで、円滑に事業承継が行えるよう様々プログラムを用意しています。ご興味があれば是非、ご一報ください。

経営者交代のタイミングについてお悩みがある場合は、こちらからご相談いただけます。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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