親族外事業承継時には公的支援の活用も検討を!

事業承継

日本の社長の平均年齢は過去最高の59歳となっているそうです。

これは、2015年に帝国データバンクが発表している全国114万社の統計情報で、1990年では54歳でしたので、この24年間で5歳も平均年齢があがっています。

また、60歳以上の社長の割合は全体の51.9%となっており、2010年から継続して50%以上の割合となっています。

一方、2013年の中小企業白書によれば、経営者の引退年齢は中規模企業で67.7歳、小規模事業者で70.5歳と報じられていることから、今後10年間で60万社程度の事業承継が控えていることとなり、中堅・中小企業の事業承継問題はまったなしの状況です。

国も、この日本の中小企業の事業承継問題には対策をうっており、2008年5月に事業承継税制、民法の特例、金融支援を柱とする経営承継円滑化法を制定し、円滑な事業承継を促しています。

しかし、前統計情報によれば、社長交代率は2008年が4.25%だったのに対し、2014年は3.83%とその効果は限定的であることが伺えます。

今後約60万社が事業承継のタイミングを迎える中、中小企業の事業承継では、親族外承継が全体の4割を占める等、M&Aを中心とした外部への事業承継が増加しており、今後も拡大していくことが予測されます。

そこで、公的機関においても、小規模事業者のM&Aによる事業承継を促すため「事業引継ぎ支援センター」を設置しています。

そして、ここにきて事業引継ぎ支援センターの利用が累積で相談件数5千件、成約件数150件を超えてきています。

事業引継ぎ支援センターでは、小規模事業者を中心に事業承継の問題点に対する対策を検討するとともに、M&Aのマッチングを支援する他、一部の都道府県では後継者人材バンクを設置し、個人起業家とのマッチングを支援する活動も行われているようです。

実際に事業引継ぎ支援センターを活用された方には、事業承継を行う際の財務・経営上の課題の整理やアドバイスの他、センター以外の外部のM&A専門機関の紹介等もしてもらい、大変助かったという意見も多いようです。

中堅・中小企業で外部への事業承継を検討する際には、このような公的支援機関の活用も一つの手法として検討してみてはいかがでしょうか。

アタックス流の事業承継については当社HPをご覧ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士 池ヶ谷 穣次
1993年 静岡県立大学卒。MBA。中堅中小企業の経営管理制度・管理会計制度構築サポート、事業再生サポート、財務・事業デューデリジェンス業務、M&Aサポート、株式公開支援、月次決算支援業務等に従事。システムエンジニア時代に得たシステム思考を応用し、経営者・経理責任者の参謀役として活躍中。
池ヶ谷穣次の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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