深刻な後継者不足
東京商工リサーチの調査によると、2020年1月~10月の「後継者難」倒産は301件で、前年同期比47.5%増と急増し、年間最多を更新したことが分かりました。
現在、私が支援している顧問先のなかでも、後継者難に直面している会社が5社あります。
社長の年齢はいずれも70歳を超えています。
これらの会社に出会った当初は、経営不振に陥っており、その状態から脱するために社長と一緒に経営改善に取り組んできました。
その結果、何とか黒字回復が果たせましたが、それに要した期間は概ね3-5年、何れの社長も70歳代となられました。
経営が安定した現在、後継者問題が喫緊の課題となっています。
皆さまの会社においても、日常の緊急業務に埋没し、必ず訪れる後継者問題を後回しにされてはいないでしょうか。
極めて重要なものとわかっていても、緊急性が高くないと思うとどうしてもその着手を後回しにし、先延ばしにするものです。
その典型が後継者問題ではないでしょうか。
私もこのような事態になる前に、社長に後継者の選定、育成を進言すべきでした。
そうした自戒の意味を込めて、後継者問題は、やはり出来るだけ早く準備を開始するべきだと考えます。
超高齢社会が進む「2025年問題」
日本の中小企業は、約380万社あり、その6割以上に後継者問題があると言われています。
この傾向は更に強まることが予想されており、巷では「2025年問題」と言われています。
2025年になると中小企業の経営者の2/3が70歳に達し、245万社の経営者が70歳以上に達します。
それらの会社のうち後継者不在の会社は約半数、つまり120万社の会社が後継者を決定していないのです。
後継者を選ぶ選択肢は以下の通りです。
②親族で候補がいない場合は、社内で選ぶ
③社内でも候補がいない場合は、外部から選ぶ(つまりM&A)
親族内で候補者がいる場合(①)は良いでしょうが、いない場合は②の社内か、③の社外から経営人材を求めることになります。
しかし、③を選ぶ場合、買い手がいるのか、希望する価格がつくのか、など、先行きの不透明感は拭いきれません。
そうすると、②の社内からの登用は判断材料が揃っているので検討しやすい選択肢と言えるでしょう。
後継者問題の解決策としては、①③の選択肢が主流ですが、②も選択肢としてあり得ます。
但し、登用される役員または従業員にとって、いきなり経営者として立つことは、計り知れないプレッシャーとなります。
だからこそ経営者としての見極め、本人の決断までにしっかりと時間をかける必要があるのです。
仮に後継者難の120万社が廃業した場合、経済産業省の推計によると、GDP損失が22兆円におよび、雇用者に換算すると約650万人の雇用が失われます。
後継者問題は、会社だけの問題でなく、日本経済全体にとって大きな問題なのです。
皆さんの会社は後継者を決めておくべき時期にきていませんか?
そうであれば、後継者をどうすべきか検討は進んでいますか?
計画をしっかりと作って、その通りに進めていますか?
前述のようなことを今一度、考えてみていただきたいと思います。
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筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 鷲見直樹
- 1995年同志社大学卒。大手鉄道会社を経て、株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティングに入社。中堅中小企業に対する事業再生支援、中期経営計画支援、M&A支援、並びに経営顧問業務に従事。経営者だけでなく従業員を巻き込んだ対話を重視する実務に沿った指導に定評がある。「必ずやりきる」ことをモットーとしている。
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