コロナ禍は経営変革のチャンス!~事業承継3つの施策に着手しよう!

事業承継

2020年1月頃から続く新型コロナウイルス感染症が長期化しており、今後の感染の急速な増加が危惧されている状況です。

中堅中小企業への影響も甚大で、帝国データバンクによると「コロナ倒産」が全国で550件を超えました(9月29日時点)。

この「コロナ禍」を中小企業が生き抜く上で、資金繰りや自社のビジネスモデルを見直すなど様々なポイントが挙げられますが、今回は「事業承継」について考えたいと思います。

有事は後継者を育てるチャンス!

新型コロナウイルスは100年に1度の大きな危機です。
つまり、社長として一生に一度経験するかどうかの有事です。

これまでの常識や経験が通じない急激な環境変化においてこそ、「社長のリーダーシップ」が試されるのではないでしょうか。

2020年版の「中小企業白書」によると、経営者が後継者を決定するに当たり、どのような点を重視しているかについて「後継者に求められる資質・能力」をみると、全体で「経営を担う覚悟」が最も多いことが分かりました。

アタックスグループでは、経営者・後継者育成の場「アタックス社長塾」を開講しております。

この塾にご子息を入塾させたお父様(社長)が、次のように仰っていました。

「こういう時こそ、彼(後継者)には頑張ってもらいたい。なぜなら、こんなチャンスはめったに経験できるものでないし、経営者として学べるものがすごく多い。」

この厳しい状況を後継者と共に乗り越えることが出来れば、後継者は自信を深めることができます。

また、この機会は、改めて自社の理念や経営者としての価値観を見直すタイミングにもなります。

これらのことからも、今はまさに、後継者にとって「経営を担う覚悟」を醸成する最適な機会なのです。

財産承継の面でもメリットがある

事業承継は、主に経営承継と財産承継に分かれます。

財産承継といえば、相続税や贈与税などの税金対策ということになります。

税務的な視点で見ると、一般的に会社の業績が悪い=株価が低い状況であるほど承継がしやすく、現状の「コロナ禍」がまさにその状況にあると言えます。

財産承継の際にネックになる株式等の財産を譲られる際にかかる負担が「コロナ禍」により少なくなる可能性があります。そうであれば、事業承継を進める良い機会かも知れません。

なお、非上場会社の自社株評価は、豊富な知識や経験を有する税理士等の専門家に相談されることをお勧めします。

事業承継の準備は早ければ早い方が良い

2020年版の「中小企業白書」によると、「後継者の選定を始めてから後継者の了承を得るまでにかかった時間」について、中規模法人では「37.1%」が、小規模法人では「45.7%」の企業が『3年超』要しています。

また、事業承継で最も重要な後継者の育成(経営知識の習得やノウハウの継承等)については、中規模法人では「91.4%」、小規模法人では「85.2%」の企業が『3年以上』掛かるとしています。

つまり、後継者が育つには相当の時間が必要で、いかに早い時期から事業承継に対して準備を進めておかないといけないかが分かります。

中小企業庁によれば経営者の平均年齢は59.9歳(2019年時点)。
年齢の分布を見てみると、最も多い経営者の年齢は69歳となっています。

現状の「コロナ禍」では経営環境の見通しが立たず、不安定な状態ではありますが、先延ばしにしても事業承継に備える時間が少なくなるだけです。

そのためにも、事業承継を進めている方はその動きを止めず、また計画を作成されていない方は手遅れになる前に事業承継計画書を作成し、実行していくことが重要です。

事業承継は、会社にとって「30年に1度」の大きなイベントであり、会社の盛衰を左右する重要な「戦略」です。

従来の経験だけでは乗り切れない、この急激な環境変化の中で、自社が生き抜くためには戦略的に事業承継を検討しておくことが大切です。

「コロナ禍」を単なる経営危機ではなく「経営変革のチャンス」と捉え、事業承継を考えてみてはいかがでしょうか。

筆者紹介

アタックス社長塾 プログラムディレクター 長谷川 博紀
大学院修了後、大手化粧品メーカーにて商品開発をはじめ経営企画や戦略策定業務などに従事。また、現場の販売員への指導育成にも携わり、有力販売店へと育成した実績を持つ。 2018年に アタックスに入社。アタックス参画後は、主に後継経営者育成のための「アタックス社長塾」のプログラム・ディレクターとして、複数の現場経験を活かし、幅広く経営者の育成支援を行っている。大阪市立大学大学院 工学研究科修了。

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