事業承継を進める絶好のタイミング到来!「中小企業白書」が語るコロナ禍の経営

事業承継

4月23日に中小企業庁より公開された2021年度版「中小企業白書」(以下、白書)に注目し解説していきます。

国は、今後、中小企業が生き残っていくためには事業承継が非常に重要だと考えています。

事業承継が進まないことは、単に事業の継続が困難になるというだけでなく、事業そのものの成長性にも大きく影響するとみているようです。

今が事業承継のタイミング!

例えば、白書の中にこんな記述があります。
(注:文中のパフォーマンス指標とは、売上高成長率、当期純利益成長率、従業員数成長率を指す)

本分析で見たパフォーマンス指標については、事業承継時の状況により多少の差はあるものの、総じて事業承継実施企業が同業種平均値を上回っていることが見て取れた。
先代経営者や後継者は、事業承継が単なる経営者交代の機会ではなく、企業の更なる成長・発展の機会であることを認識した上で、事業承継に向けた準備や承継後の経営に臨むことが重要であるといえよう。
※白書:第2部-第3章P.50

このような状況下、コロナ禍にすべての企業が直面しました。

この国難に対応するために、企業はあらゆる角度から仕事のやり方を変えてきました。

例えば、感染を防ぐために仕事はリアルからリモート対応へと切り替えられ、今では、会議は当たり前のようにリモートとなっています。

また、顧客やサービス提供方法を大幅に変更する企業も増えてきたと思います。(例えば、観光業や飲食店など)

実は、今、企業にとって事業承継の絶好のタイミングが来たといっていいと思います。

新しい発想が求められるコロナ禍

事業承継には、既存のやり方にとらわれることなく、新しい仕組みやマーケットにチャレンジすることが求められるからです。

事業承継実施企業の承継後5年間の売上高成長率(同業種平均値 との差分)を見たものである。
これを見ると、事業承継の1年後が最も高いものの、2年目から5年目までも一貫して同業種平均値を上回っており、事業承継実施企業が同業種平均値よりも高い成長率で推移していることが分かる。
※白書:第2部-第3章P.45

白書をみると、事業承継を受けた若い社長が、積極的に設備投資を行い、トライアンドエラーの風土を社内にもたらし、新しいことにチャレンジし、その結果、環境適応を果たしている、ことがデータから読み取ることができます。

一方で、下記のようなデータもありました。

事業承継の意向別に、感染症流行による事業承継に対する心境の変化の具体的内容を見たものである。
「事業承継に向け、後継者決定済み」や「事業承継に向け、譲渡・売却・統合(M&A)を検討」とする経営者は「事業承継の時期を前倒したい」とする割合が高い。
一方で、「事業承継に向け、候補者あり」や「事業承継について未検討」とする経営者は「事業承継の時期を延期したい」とする割合が高い。
※白書:第2部-第3章P.58

これを見ると奇しくもコロナ禍が事業承継を加速させる企業と、更に遅れをとる企業の明暗を分ける傾向にあります。

不確実性の高い混沌とした今だからこそ、新しい発想で新しいことにチャレンジしていく力が必要です。

その意味で、今こそが事業承継を決断・実行していくタイミングではないでしょうか?

アタックスグループは、長年、クライアントの皆様が事業承継に関して、ベストな選択ができるようアドバイスし、親族内承継・親族外承継を問わず、親身に伴走させていただきます。ご相談はこちらからお問い合わせください。

 

M&A・MBOサポート

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー
株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役会長
公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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