第3次安倍再改造内閣は、アベノミクスを強力に推進するための目玉として、働き方改革の担当大臣を新設しました。
加藤勝信担当相は、
(1)同一労働同一賃金の実現
(2)長時間労働の是正
(3)高齢者の就労促進
(4)テレワーク(在宅勤務)などの柔軟な働き方
を主なテーマに、年度内に実行計画をまとめる予定です。
今回は、生産性向上に繋がるテレワークに焦点を当てて解説したいと思います。
まず、テレワークとはどの様なものを指すでしょうか。
総務省の定義では、「ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現するもの」となっています。
テレワークの主な種類としては以下の3つの仕組みがありますが、要は「移動時間を短縮する」仕組みと言えるでしょう。
(1) モバイルワーク
・・・施設に依存しない、いつでもどこでも仕事ができる状況を作る仕組み
(2) サテライトオフィス
・・・貸オフィス等の施設を仕事場とする仕組み
(3) 在宅勤務
・・・社員の自宅を仕事場とする仕組み
ICT技術が発達した現代では、多くの企業がテレワークを導入していてもおかしくはありません。
しかし、平成26年に総務省が行った通信利用動向調査によると、制度としてテレワークを導入している日本企業は11.5%です。
また、平成27年に国土交通省が行ったテレワーク推進調査では、週に8時間以上本拠地のオフィスを離れて仕事をする人(テレワーカー)は全労働者(約5930万人)の13.3%(約790万人)であり、決して高いとは言えない状況でしょう。
この結果の要因は、中堅中小企業の導入率の低さにあります。
資本金50億円以上のテレワーク導入率は50.9%に達するのに対し、50億円未満の企業は25%を下回り、5000万未満では10%を下回っているのです。
筆者の経験からも、営業社員にモバイル機器を提供し、外出先でも事務作業ができるようにしている企業は多数ありますが、その他の職種でテレワークを導入している企業は少ないのが実感です。
理由として考えられることは、ICT環境が整っていない、社外で機密事項を扱うことに不安を感じる、情報技術に関するリテラシーが足りない社員が多いなどいくつか考えられますが、テレワークの可能性を深く考えていないということもあるのではないでしょうか。
テレワーク導入の企業側のメリットには次の様なものが考えられます。
・オフィススペースに必要な経費や通勤手当などが削減できる
・災害が発生した時などに事業を継続できる
・柔軟な働き方が可能になることにより、優秀な人材が確保できる
・ワーク・ライフ・バランスを図り、企業の社会的責任(CSR)を推進できる
一方、社員にとってもテレワークは、以下の通り大きなメリットがあります
・通勤時間の削減などにより自由に使える時間が増える
・通勤が難しい高齢者や障害者の就業機会が拡大する
・育児や介護、病気の治療などをしながら働くことができる
・電話などに邪魔されず、業務に集中できる、また業務効率も向上する
労働人口が減少するなか、テレワークは会社の生産性を向上させ、社員の満足度も向上する素晴らしい可能性を秘めています。
モバイル機器等の購入などにコストはかかります。適切な労務管理を行うために就業規則の変更等のルール作りも欠かせません。
導入に関して手間はかかりますが、それを上回る効果がテレワークにはあると思います。
自社でどの様に活用できるか、目的、効果から考えてみてはいかがでしょうか。
アタックスグループは、人財採用基準設定から人財教育、人事制度設計・運用に関して、クライアントの皆様の顕在的・潜在的課題の解決を実現できるよう、サポートさせて頂きます。まずは無料相談をご利用ください。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 取締役 永田 健二
- 1999年 静岡大学卒。中期経営計画策定支援、組織風土分析支援、人事制度構築支援、人事制度運用支援などに従事。新入社員研修、中堅社員研修、管理者研修、各種個別研修など研修講師としても活躍中。
- 永田健二の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。