下駄をはかせるだけではダメ!ストレッチと粘り腰で女性を輝かせる!

女性活躍推進 人材育成

「だから女はダメなんだ・・・」

そんなつぶやきが、そこかしこから聞こえてきた、先の女性閣僚二人の辞任劇。
その後、一時の大騒ぎから解散総選挙へと事態が急展開したこともあり、この問題も今や昔の出来事になりつつあります。

今回の、女性閣僚の抜擢から辞任までの顛末を見て感じたこと。

それは、「女性活躍推進」という不慣れなことに取り組んだ組織の残念な事例として、企業も学ぶべき点があるということです。

では、企業が「女性活躍推進」の名のもと、期待をかけて抜擢したものの適性がなく降格させるという不名誉な事態を回避するためには、どうしたらよいのでしょうか。

「2030年までに管理職など指導的な地位に就く女性の割合を30%にする」という目標を安倍政権が打ちだし進められてきた女性活躍推進。

今回の解散で廃案になったものの、「女性活躍推進法」では、301人以上の企業に対して、行動計画の策定と厚生労働大臣への届け出が義務化されるというものでした。

計画に記載する事項は、
(1)計画期間
(2)達成しようとする定量的目標
(3)女性の活躍の推進に関する取組の内容
(4)実施時期
となっており、具体的に数値目標を設定することによってより加速度的に女性の管理職登用が進むという目論見です。

確かに、何の目標も無いまま現在の女性管理職比率10%台の現状が30%になるとは考えにくく、数値目標を持つことは必要なことだと思います。

しかし、先進国の中でも日本がこれほどまでに女性の管理職比率が低いのには、理由がありました。

厚生労働省の雇用均等基本調査によると、『女性管理職が少ないあるいはまったくいない理由』の上位3項目として、
1位:「現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」(54.2%)
2位:「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、
    現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」(22.2%)
3位:「勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する」(19.6%)
があげられています。

そして興味深いのは、4位の「女性が希望しない」(17.3%)です。

この結果から言えることは、管理職を任せるに足る経験値が圧倒的に女性には不足していることがわかります。

これは、働き続けることのできる環境が企業側に整っておらず、結婚や第一子出産を機に退職せざるを得ない女性がまだまだ多いという点があげられます。

経験を積もうにも退職してしまっており、管理職候補になりうる母数そのものが増えていないのが現状です。

そのような状況下で、管理職に必要な知識や経験値も乏しく、役割を担うに足る十分な備えが無い女性を、「女性活躍推進」と称して下駄をはかせて抜擢してしまったらどうなるでしょうか。結果は自明です。

女性の活躍推進は、単に女性枠を増やして下駄をはかせ、抜擢することではありません。
管理職を任せてもその役割をしっかり遂行できる真に実力を備えた女性を育てていくことに焦点をあてるべきです。

従って、この取組みを成功させるには、環境整備も含めて、時間をかけてじっくり取り組んでいくという経営者側の覚悟が必要です。

まず、候補者となりうる母数を増やすという点でいけば、働き続けることのできる環境整備が不可欠ですがこの点は随分改善されてきている感があります。

現に、女性の勤続年数は長期化傾向にあります。
今後重点的にやるべきは、女性自らが仕事人生を真剣に考えることができる機会を与え、仕組みを整えることです。

そしてここからが重要ですが、本人に仕事人生の選択を迫り、決して甘やかせず、成長のための目標設定を行い、上司がしっかり伴走していくことが大切です。

つまり、成長のためのストレッチと、上司の粘り腰こそが、今後の女性活躍推進の成否を決めるといってもよいのです。

法案が通ろうと通るまいと、労働力人口の減少で、「大人手不足時代」が来ることは間違いありません。
今後は、いかに上質な労働力を確保できるかが、企業にとっても最も重要な競争戦略の一つです。

今一度、来年度に向けた方針を考えるこの時期に、「女性活躍推進」を含めた人事戦略と教育戦略を経営者自身が、じっくりと考え実行計画を立案してください。

アタックスグループでは、女性社員の戦力化ための「女性社員キャリアアップ戦略」「人事コンサルティング」支援を
行っております。お気軽に北村までお問い合わせください。

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筆者紹介

株式会社アタックス 執行役員 中小企業診断士 北村 信貴子
1963年生まれ。中小企業診断士、産業カウンセラー、BCS認定ビジネスコーチ。大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に経営診断や人事制度設計運用・人材育成業務に従事。現在は、後継者育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に特に注力。講演・セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく迫力ある指導には定評がある。
北村信貴子の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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