人口減少が進む中、政府が大きく政策課題として挙げているのが働く人々のワークライフバランスと生産性の向上を狙いとする「働き方改革」です。 筆者も「働き方改革」に大きな関心を持っており、基本は仕事のムダ・ムラ・ムリ(ダラリ)を無くし生産性を高め結果として残業時間を減らすことだと考えています。
ところで、筆者が注目している調査レポートに「働きがいのある会社ランキング」があります。 元々はアメリカの調査会社(Great Place To Work Institute)が始めた調査ですが、日本でもGPTWジャパンが設立され、毎年調査結果が発表されています。
GPTWが主張する「働きがいのある職場」は
(1) マネジメント層(職場の上司)
(2) 仕事
(3) 職場の同僚
の三つと社員との関係によって構成されています。
(1)の上司と社員の関係性のキーワードは「信頼」です。社員は信頼のできる上司の下で働くことで働きがいを実感できます。 信頼をブレークダウンすると、上司を尊敬できること、どの社員にも分け隔てなく公正であること、仕事が行き詰まった時には支援(サポート)してくれることという3つの項目に分解されます。加えて社員の仕事の結果・成果を職場の上司が承認することで更に信頼は高まります。
(2)の仕事と社員の関係性のキーワードは「誇り」です。つまり社員が自分の担当している仕事に誇りを持つことが働きがいにつながります。
ピーター・ドラッカーの著書の一つに「経営者に贈る五つの質問」がありますが、五つの質問の一番目から三番目は社員の誇りに直結するものです。
一番目の質問は「我々のミッションは何か」
二番目の質問は「我々の顧客は誰か」
三番目の質問は「顧客にとっての価値は何か」
です。
経営者はこの三つの質問に対して明確な答えを出し、社員に伝え、日常の言動において矛盾なく実践することで社員は仕事に誇りを持つことができます。
(3)の社員同士の関係性のキーワードは「連帯感」です。仕事の多くはチームで遂行されます。周りの人に迷惑を掛けないよう責任を持って仕事をする。しかし、困った時はお互い様という意識で助け合い、支え合うことが連帯感の醸成につながります。
筆者はトヨタ系大手企業の社外役員を長年務めていますが、トヨタでは職場における連帯感がきわめて強いです。2001年に全世界のトヨタ社員に発信されたトヨタウェイでは組織のあり方を二つの言葉で表現しています。 「人間性尊重」と「チームワーク」です。トヨタではこの二つが単なるお題目ではなく実践されていると感じることが多いです。
人口減少社会は働き手がどんどん減る時代です。こんな状況下で会社経営にとって求人活動は最重要課題となっています。 人事部門に人材を配し、組織的・計画的に採用活動している上場会社ですら人材採用が難しい中、知名度の低い中堅中小企業にとっては経営者あるいは後継者自らが先頭に立って求人をしなければなりません。
その為には自社を働き甲斐のある会社にすると同時に自社流の働き方改革を段階的に実施することで自社の魅力を高め人材採用をしないと経営の継続は難しいでしょう。
経営者・後継者はドラッカーの経営者に贈る五つの質問に解答を出し、働きがいのある会社を理想に掲げ働き方改革を一歩一歩進め、人材が集まる会社作りと採用活動に注力されることを期待しています。
アタックスグループでは「働き方改革」をしたいと考えている企業を対象とした業務改革コンサルティングをご用意しています。ご興味のある経営者は是非こちらから声を掛けて下さい。
筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
- 数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
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