昨今、経営環境が改善傾向にあり、階層別教育を中心に、教育投資を強化する会社が増えてきています。
弊社でも各種研修プログラムをご提供していますが、最近、特に増えてきているのが、「評価者研修」です。
訪問するとお悩みの多くは、「評価者に評価の考え方を教育したことが無く、目線が甘辛バラバラで、被評価者(評価される部下)の納得感が得られていない」というものです。
人事制度を新たに設計したり、改訂する際には、管理職を巻き込んで設計したり、導入説明会を丁寧に実施するなど周知徹底に力を注ぐのですが、導入後にはほとんど研修を定期開催していないのが現状です。
そのため、その後新たに管理職に昇進した方(特に中途採用の方)には、人事制度の思想や仕組みが全く伝わっていないというケースも少なくありません。
更に、教育について、経営者や人事担当者の方と打ち合わせをしていると、人事制度の運用そのものに改善すべき点が見られることが多々あります。
読者の皆様も以下の2点について確認してみてください。
(1) 人事制度の運用責任者である管理職(評価者)が、人事制度(評価、報酬、教育の仕組みなど)を理解しているか
(2) 等級要件など、人事の仕組みについて定期的に見直す機会が設定されているか
人事制度は頻繁に改革されるような制度ではありませんし、社員が安定的な生活を送る為にも5年~10年は有効に機能する仕組みであることが求められます。
しかし、人事制度の思想や仕組みを考える機会は定期的に設けるべきです。
ある会社では、等級制度に基づく等級要件や、評価から報酬への連動方法などが文書化されているのですが、20年以上前に導入した後、一度も見直しておらず、今や、評価項目が時代と乖離した内容に陳腐化してしまっていたという事例もありました。
社員が評価に納得しない理由は、自分の努力が評価に反映されていないか、評価と報酬の関係が理解できないかの何れかです。
評価する際の心理的エラーを防止するための知識や、評価の基本的な進め方を、評価者が習得することはとても大事です。
しかし、それよりも会社が期待することを社員がしっかりと理解し、その期待に応えるべく邁進した結果、どの様に報われるかを理解することも同等以上に大事であると考えます。
そのためには、人事の仕組みについてその思想と仕組みを管理職が理解し、時代の変化に応じて継続的改善を行い、その結果を丁寧に社員に伝えていくことが大切です。
これらに着手する手順として、まずは評価者研修を活用して、人事制度に関する規程等を読み合わせる時間を取り、等級要件などについてブラッシュアップする場を設けることをお勧めします。
毎年このような管理職向けの研修を開催すれば、上述(1)(2)を解決するきっかけになります。 会社が今現在、社員に期待することをきちんと文書化し、それを社員に伝える工夫ができているか、この機会に自社を点検して頂きたいと思います。
また、人事制度を運用する管理職(評価者)に、制度の意義や考え方を腹落ちさせ、経営者と社員をつなぐ潤滑油として期待すべき行動を促進する仕組みになっているかを考えて頂きたいと思います。
アタックスグループは、人財採用基準設定から人財教育、人事制度設計・運用に関して、クライアントの皆様の顕在的・潜在的課題の解決を実現できるよう、サポートさせて頂きます。まずは無料相談をご利用ください。
●アタックスの人事コンサルティングの詳細はこちら
●無料相談のお申込みはこちらから
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 取締役 永田 健二
- 1999年 静岡大学卒。中期経営計画策定支援、組織風土分析支援、人事制度構築支援、人事制度運用支援などに従事。新入社員研修、中堅社員研修、管理者研修、各種個別研修など研修講師としても活躍中。
- 永田健二の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。