先日、日本話し方センターが運営する話し方教室の受講生と話をしていて、多くの方が共通した悩みを抱えていることに気づきました。
話し方教室では、毎回、2分間のスピーチ実習があるのですが、そのスピーチの「ネタ」探しに、毎回とても苦労するというのです。
確かに、話をすることが決まっても、何を話せばいいのか、なかなか思いつかない、という人は多いと思います。
では、どうすればすぐに思いつくようになるのでしょうか?
私たちは常日頃、新聞やテレビ、インターネットなどから様々な情報を得ています。
しかし、自分の仕事に関係するものや興味があるもの以外は、翌日には何を聞いたか、何を見たか、さっぱり覚えていないということが大半だと思います。
人は、せっかく得た情報も、それを使うことがなければ記憶に留めようとしないのです。
逆に、得た情報を活用する場面があれば、より多くのことを記憶しようとします。
例えば、職場や友人同士で雑談する機会が日常的にあると、「昨日テレビで見たんだけど~」という話しをするでしょうから、少しは見たもの、聞いたことを心に残しているでしょう。
更に、職場での朝礼など、定期的に人前で話をする機会があれば、もっと色々と情報を集めようとするのではないでしょうか。
人には、どうせ話をするなら、聞いている人に、つまらない話だと思われたくないでしょうし、もっと積極的に、面白い話をする人だと思われたい、と望む気持ちがあるからです。
話の「ネタ」がすぐに見つかるようにするためには、まず、人前で定期的に話す場を設けることが重要なのです。
そういう場があると、どんな話題にしようか、その話題をどのように話そうか、など、日常の雑談よりも、はるかに色々と考えるはずです。
また、人に聞いてもらう話をしようとすれば、話す話題を見つけるために常に情報を広く集めますし、観察力も磨かれるでしょう。
見つけた話題をいい話に仕上げるために思考力や洞察力も鋭くなっていくはずです。
つまり、人前で話をすることは、自身の視野を広げ、思考を深くすることに繋がるのです。
人前で話す機会は、職場であれば、朝礼や定期連絡会など、少ない努力で作れると思います。
そうした場を設定して、定期的に話をする機会を作ることで、お互いの考える力、その考えをきちんと他の人に伝える力が磨かれていくでしょう。
ところで、人前で話すことには、もう一つよい効果があります。
それは、少しでもいいことを言おうとするということです。
人は日常に没入していると、現実的なことしか意識しないので、いきおい視野は狭くなり、考え方も狭い、自分中心のものになるでしょう。
しかし、前述のように、自分の考えを人前で表現する場があれば、そう現実的な話ばかりもしていられません。
人前でする話は、教訓的なものであったり、ポジティブなものであったり、何れにしてもいい話をしようとします。
多少は格好をつけた話をするかも知れません。
しかし、それを語り続けることで、その考え方が自らにも浸透していきます。
結果、以前よりも良いものの考え方をするようになっていくのです。
こうして、人前で話すにつれて、考え方が人に良い影響を与えるものに変化していきます。
そういう人が職場で増えていけば、きっと職場の雰囲気、風土もポジティブなものになっていくのではないでしょうか。
ここまで述べてきたように、
・人前で話す場があることで、広く情報を集め、深く考えるようになります。
・その考えは人にいい影響を与えるものになっていくでしょうし、それを口にすることで自身の価値観として定着していきます。
・人前で話す場数を踏むことで、話す態度も落ち着いた堂々としたものになっていきます。
まさにいいことずくめですね。
是非皆様も、職場などでお互いの考えを述べ合う定期的な場を作ってみてはいかがでしょうか。
アタックスグループの日本話し方センターは、受講生の話し方を確実に変える「話し方教室」や「2日間集中セミナー」を開催しています。ご興味のある方は是非日本話し方センターのホームページをご覧ください。
筆者紹介
- 株式会社アタックス 執行役員 グループサポート本部 本部長
株式会社日本話し方センター 代表取締役社長 中小企業診断士
横田 章剛 - 1983年 神戸大学卒。メガバンクで、国内・海外の勘定系システムの開発、ガバナンス業務、銀行決算・銀行税務の取り纏めなどに従事。2007年 アタックスに入社し、グループ全体の経営企画、総務、経理、法務等の間接部門を統括。