1月22日、安倍首相は施政方針演説で、かねてより掲げていた「一億総活躍」に向けて、挑戦を始めると述べました。
最も重要な課題に、多様な働き方の実現を挙げ、今まで働きたくてもなかなか希望する仕事に就職出来なかった方々の社会進出を促進する考えです。
特に今回は、三本の矢全てに「人」に関わる視点が盛り込まれ、「一億総活躍」を掛け声だけに終わらせないという本気度が伺えます。
<第1の矢>
強い経済=20年のGDP600兆円
女性や高齢者、障がい者らの雇用拡大や地方創生で
生産性革命を実現する
<第2の矢>
子育て支援=合計特殊出生率1.8%回復
子育ての負担軽減、及び結婚支援や不妊治療支援50年後も
人口1億人を維持する
<第3の矢>
社会保障充実=介護離職ゼロ
介護の支援体制充実(介護施設や介護福祉士の拡充)、
及び介護休業制度の拡充で安心できる社会を実現する
どの矢も重要なテーマばかりですが、特に今回は、第3の矢に注目したいと思います。
日頃、人事コンサルタントとして、企業の様々な人財マネジメントをご支援していますが、実際、育児休業の取得実績を有する企業は中堅・中小規模でも確実に増加しています。
しかし、介護休業の取得実績のある企業はまだまだ少ないのが現状です。
要因の一つとして、高齢者の方々がいきいきと現役で頑張っていることが上げられるでしょう。
現役を退いた団塊世代も元気溌剌な方が多く、要介護状態に至るのはまだまだ先であることも、企業が切迫した問題としてとらえられない原因だと思います。
しかし、統計では年間10万人を超える介護離職者が発生し続けており、団塊の世代すべてが後期高齢者(75歳以上)になる2025年に向けてそのリスクが増大することは間違いありません。
また、厚生労働省の平成25年の雇用動向調査では、介護を理由とした離職率が35~44歳の年齢層のパートタイム労働者から高くなり、45歳以降では雇用形態に関わらず離職率が高くなる傾向を示しています。
働き盛りの年代、管理職などの責任ある職務を担当する年代について介護離職のリスクがあるというのは認識しておくべき事実です。
そのためには、まず年代の層ごとに社員が何人在籍しているか現状確認し、将来(5年後、10年後)、どの様な年齢構成になるかを
シミュレーションすることをお勧めします。
(5歳刻みで男女別の分析を行うと良いと思います)
採用の強化や人財育成、計画的な管理職登用、家族に介護者が出ても離職しないで働き続ける仕組みの構築等に関する課題が浮き彫りになるかも知れません。
多くの中堅・中小企業で未だ実感していないリスクを、政府は第3の矢で声高に掲げています。
これは人口統計上、確実に予測できる未来だからです。
多用な働き方を実現し、成長に繋げる為にも、是非とも、「人」に関する自社の実態をしっかりと現状分析されてはいかがでしょうか。
アタックスグループは、人財採用基準設定から人財教育、人事制度設計・運用に関して、クライアントの皆様の顕在的・潜在的課題の解決を実現できるよう、サポートさせて頂きます。まずは無料相談をご利用ください。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 取締役 永田 健二
- 1999年 静岡大学卒。中期経営計画策定支援、組織風土分析支援、人事制度構築支援、人事制度運用支援などに従事。新入社員研修、中堅社員研修、管理者研修、各種個別研修など研修講師としても活躍中。
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