社員が生きがいと働きがい感じる職場に!

人材育成

当社の顧問先F社は、訪問介護、グループホーム、有料老人ホームなど、介護・福祉関係の事業を愛知県中心に展開しています。

F社の社長は30年前に1台の訪問入浴車を元手に、自分と看護師とヘルパーの3人で訪問入浴事業をスタートさせました。

事業開始の動機は、とにかく人に喜ばれる仕事がしたかったこと、また、寝たきりの父親を風呂に入れたときに大変喜ばれた原体験があったことも大きかったそうです。
創業30周年を迎え、次の10年に向けた抱負について社長は次のように語っています。

「地域社会にとってなくてはならない会社、働く社員がここで働いてよかったと満足する会社にするために、教育の充実と、社員の待遇改善に力を入れたい」

現在、F社には800人弱の社員(90%が女性)が働いています。筆者が接する社員は限られますが、会社の事業に共感しており、常に先頭に立つ社長が大好きであることをどの社員からも強く感じます。

このF社の創立30周年の会に参加して、21世紀型の事業経営と経営トップのリーダーシップとはいかなるものかを、改めて考えさせられました。

まず、これからの事業については、本物の商品・サービスでなければ存在価値がない時代になったことを理解して戦略を講じるべきでしょう。本物の商品・サービスとは基本的に高品質かつ適正価格でなければならず、「なくなると困る。お金を払うのでぜひ続けて欲しい」と利用者から言われるほどの価値があるものが理想です。

これを実現するためには、会社は何のために事業をするのかという理念を全社員が共有し常に学習する、全員経営を心がけなければなりません。

市場が成熟した今の時代、F社の社長による創業30周年を迎えた挨拶文の「私達は『あなた達が居てくれたから』との言葉を最高の誇りとして進んでまいります」というお客様サイドに立った社風づくりが、どの企業にも求められています。

次に、経営トップのリーダーシップが一段と重要な時代となってきました。戦後の作れば物が売れた高度成長期は、経営トップの多少の判断ミスは売上増加でカバーされました。かつて、ダイエーの創業者の中内功氏は「売上げはすべてを癒す」と公言し事業を拡大させました。しかし、現在は違います。

昨年12月自民党安倍政権が誕生し、経済再生に期待が高まっているとはいえ、まだまだ先行きは不透明です。
経営者の事業展開上の判断ミスは許されず、新規事業への投資など思い切った決断が非常に難しい状況です。

こんな時代だからこそ、全員参加で企業経営をする必要があります。トップが経営の基本方針を打ち出す役割を担うことはいつの時代も変わりませんが、実際に現場で仕事をして顧客と接するのは社員です。

トップの発する方針、その土台となっている経営理念を組織の全員に浸透させなければなりません。と同時に、現場で日々発生する事象が速やかに経営トップに伝わる組織でなければならず、顧客からのクレーム情報、職場における社員の士気に関する情報は特に重要です。

経営トップは、全社員が「生きがいと働きがい」を持ち「自分の城は自分で守る」社風作りのリーダーシップを発揮していかなければなりません。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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