習慣・常識となっていることも見直そう。柔軟に考える事によって得ることとは?

人材育成

3月11日に発生した東日本大震災は、原子力発電の見直しを迫り、電力不足の状況を産み出した。結果として日本各地で大規模な節電を求められ、電灯の間引きや、エアコンの温度設定を28度以上にするなどの細かい対策に加え、在宅勤務やサマータイム制を実行に移す企業も出てきた。東海圏では電力需要分散の為に、トヨタ自動車を中心に多くの企業が木金休み土日操業を実行した。

記事は、節電対策を題材に、仕事の仕方、特にホワイトカラーの生産性を見直すきっかけにすべきだと啓蒙している。確かに節電に留まらず、更なる生産性の向上が必要な時代であることは間違いない。例えば少子高齢化対策としての生産性向上である。労働人口が減少する中、会社は今以上に介護に対する社員の支援を行政から求められるようになるだろう。

政府広報の発表では、家族の介護・看護のために離職・転職を余儀なくされている方が、5年間で50万人にも上っているとのことである。要介護者の人数は、10年前と比べ倍以上になっており、長期予測では75歳以上高齢者の全人口に占める割合が、2055年には25%を上回るとの発表もある。

核家族化や女性の社会進出は進んでおり、大家族で高齢者の介護をする時代ではなくなっている。多くの会社員は仕事をしながら、親の介護も同時にこなすことが求められるようになるのだ。

経済予測には当たり外れがあるが、例外なしに人口予測はほぼ正確である。目の前に問題は迫っているが皆さんの会社は準備万端だろうか。

人間は普段の習慣を改めることが苦手である。在宅勤務もサマータイム制も震災前から必要性が叫ばれていた制度である。しかし、導入する企業が少なかったのは「今までの習慣・常識」に囚われていたからではないだろうか。

ホワイトカラーの生産性についても「習慣」が問題点になっているかも知れない。IT技術やプリンタ技術の発展によって、デスクワークの能率は間違いなく向上している(10年前のプリンタではカラーの資料を1枚印刷するのに30秒ほどかかっていた。今は一瞬である)。

しかし、せっかく時短に繋がる技術が発展しても、1日8時間仕事をしなければならないという習慣から、ムダなデスクワークも増えているのではないだろうか。

出勤や退勤の時刻、勤務時間など、今までの習慣・常識から離れ、もっと柔軟に考える必要があると筆者は考える。

残念ながら現時点でホワイトカラーエグゼンプションは導入されていないが、フレックスタイム制など現行の法令で実現可能な仕組みはいろいろある。仕事を見直すに当り、今までの習慣・常識を根本的に見直すことも必要ではないだろうか。

<参考記事>
「しごと再考 節電が洗い出す無駄 生産性高める契機に」
2011年8月23日(火)日本経済新聞 朝刊

筆者紹介

株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 取締役 永田 健二
1999年 静岡大学卒。中期経営計画策定支援、組織風土分析支援、人事制度構築支援、人事制度運用支援などに従事。新入社員研修、中堅社員研修、管理者研修、各種個別研修など研修講師としても活躍中。
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