「コーチング」で組織を強くする!~社内コーチ育成研修のすすめ

人材育成

従業員の過半数は、ほとんど本音で話していない?!という実態

あなたの部下に「職場で本音を話せていますか?」と質問したら、あなたの部下は何と答えると思いますか?

パーソル総合研究所が行った「職場の会話機会のうち本音で話せる割合」を算出した調査結果をご紹介します。

▼「職場の会話機会のうち本音で話せる割合」

出所:パーソル総合研究所「職場での対話に対する定量調査」(2024年3月29日)

「全く本音で話していない」と回答した割合上司との面談⇒41.6%
チーム内での会議⇒43.0%

「2割未満」と回答した割合まで広げると、上司との面談、チーム内の会議のどちらも過半数を超え、多くの従業員が本音で話していない、という実態が明らかになっています。

なぜ職場で本音を話せないか

では、なぜ本音を話せないのでしょうか。

ご自分が部下だった頃を思い出しながら、考えてみましょう。

例えば、上司に話しても分かってもらえない、否定されるだけだ、という諦め。

自分には荷が重すぎると感じる業務だが、もし断ったら、上司に「仕事のできない部下」と思われないだろうか、という恐れ。

そもそも上司は自分の話に関心を持ってくれないだろう、という疑い。

こうした思いから、一時的に本音を言うことを遠ざけることがあるかもしれません。

しかし、この思いが部下の中で常態化しているとしたら、上司が部下の本音を聞く機会は、ないでしょう。

これでは、組織に新たな変化は生まれず停滞し、やがて組織全体の生産性低下に繋がります。

生産性低下の原因のひとつに、従業員が本音を話せないコミュニケーション上の問題が関係していることは見逃されがちです。

その結果、事業の戦略や方向性が従業員に浸透しない、売上が低迷する、離職率が上昇するなど、組織の問題が様々な形となって現れます。

では、どうすれば本音で話せる組織を作れるのでしょうか。

その鍵となるのは、管理職が身につけるべき「コーチング」スキルです。

なぜコーチングなのか?

コーチングは、対話によって相手の自己実現や目標達成を図るコミュニケーションスキルであり、部下育成にも効果的です。

コーチングには、4つのスキル「観察」「傾聴」「承認」「質問」があります。

これらを用いて、上司が部下と対話を進める中で、部下に自発的な行動を促す効果があります。

実際に管理職の方とのコーチングの際、職場でコーチングを行う時の意識・姿勢などのマインド(あり方)と、スキル(やり方)をお伝えし、練習していただくことがあります。

4つのスキルは、どれも聞いたことのある言葉ばかりですので、最初は簡単そうに見えますが、実際にやってみると、「意外と難しい!」という声が上がります。それほど奥深いものです。

しかし、練習を継続していくことで、確実にマインドが備わり、スキルを身につけることができます。

部下との面談にコーチングを取り入れた方から、「以前はアドバイス中心の面談をしていました。コーチングを取り入れてから、部下が自分の言葉で話してくれるようになりました。部下も私も本音で対話している感覚があります。」という声をお聞きしています。

このように、コーチングは管理職のコミュニケーションを変容させ、誰もが安心して話せる組織風土を築く力となります。

社内コーチ育成研修のすすめ

管理職のコミュニケーションの変容は、組織を変革する上での推進力になります。

しかし、個人に蓄積された知識・経験・知恵を組織全体の共有財産として活用しなければ、組織変革は成せません。

そこで、管理職自身が「社内コーチ」となって社内でコーチング研修を開催することをお勧めします。

コーチングのマインドとスキルを次の世代のリーダーへ継承していくことが可能です。

社内コーチ育成研修の期待される効果と注意点は?

社内コーチ育成研修においては、導入にあたって注意すべき点もありますが、大きな効果が期待できます。

期待される効果

●個々のコミュニケーションスキルの底上げ
 言語コミュニケーション(言葉によるコミュニケーション)、非言語コミュニケーション(表情、声の大きさ・トーン、しぐさなど、言語以外のコミュニケーション)共に豊かになります。

●会社の背景を熟知したコーチによる深い部下理解
同じ環境で働く者同士だからこそ、共感できることは沢山あります。部下の悩みを聴き、課題解決に向けて一緒に考えていくことで、相互理解が深まります。

●社員同士の信頼関係強化、組織風土醸成
 本音を話せる・聴ける関係が一人、また一人と増えていけば、組織も本音を話せる安心・安全な場へと変化します。

●顧客との関係性向上
 コミュニケーションの基本は、社内外問わず同じです。社内で信頼の厚い方は、顧客からの信頼も厚いです。

注意点

部下の状況によっては、コーチングではなく、ティーチングやカウンセリング的なコミュニケーションを優先した方が適切な場合もあります。日頃から部下理解に努めましょう。
 
管理職のコミュニケーション力の向上、さらには組織変革には、管理職だけでなく、経営者から一般社員までどの立場であっても、本音を話せる・聴けるようになることが重要です。

「あなたの部下は、職場で本音を話せていますか?」

最後に

アタックスグループでは、管理職を対象とした社内コーチの育成研修からフォローアップまで、あらゆる段階においてサポートをさせていただきます。

社内のコミュニケーションに課題をお持ちの経営者の方はこちらからお気軽にご相談ください。

筆者紹介

アタックスグループ 産業カウンセラー/ビジネスコーチ 樋江井 弓子

証券会社、銀行、国際協力機関等を経て、アタックスへ入社。複数の企業での勤務経験を活かし、多彩な環境の中で働く人たちが自らの力で課題解決へ向かえるよう支援している。
幹部社員へのビジネスコーチング、実戦マネージャー短期養成コース受講後100分間コーチング、産業カウンセリングを担当。傾聴オンラインセミナーを開催し、傾聴の姿勢・心構えの大切さを伝えている。
個人と組織との架け橋となるべく、「言葉にならない思いを聴かせていただき、未来を描き、現在(いま)を生きるコーチング・カウンセリング」に取り組んでいる。
樋江井弓子のプロフィールはこちらをご覧ください。

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