2023年4月に2023年版「中小企業白書」(以下、「白書という」)が公表されました。
毎年、この時期、いつも中小企業白書を見ることにしています。
2022年版中小企業白書を振り返る
昨年の白書のポイントは、ポストコロナを見据えた中小企業の事業力アップでした。
コロナ問題で既存の事業が大打撃を受け、さらに原材料の高騰等のコストアップという波に中小企業はどのように取り組むか?
その中でのキーコンセプトは、「自己変革による事業力アップ」だったと思います。
2023年版中小企業白書を読み解く
今年の白書はどうでしょうか?
全体を見るにあたり、まったく目新しい切り口はなかったように思います。
今年のコンテンツは、昨年の事業力をベースに、3年、4年くらい前に話題となった事業承継が加わった感じです。
見方をかえれば、最近、中堅中小企業が直面している問題を網羅的に論点整理してくれていると思います。
例えば、自己成長するために「戦略」「経営者」「内部資源・体制」という切り口から、中小企業が今すべきことをまとめています。
経営者の戦略実行を支える人材とは
その中で、特に興味を引いたところは、白書P234以降に記載されている「経営者の戦略実行を支える人材」のところです。
経営者の補佐役には2種類がある。「右腕人材」と「変革人材」。
右腕人材
ここで「右腕人材」とは、
「社内において経営者に続くナンバー2の立場にあり、会社経営を行う上での悩み事が相談できる等、経営者が厚い信頼を寄せる人材」
と説明されています。
このような右腕人材が存在する会社とそうでない会社の売上高増加率を比較すると、前者の方が数字は高いという統計値がでているようです。
このような右腕人材は、経営者に匹敵する経営力を持っており経営者をサポートでき、社員と経営者のコミュニケーションを円滑にしてくれるようです。
変革人材
「変革人材」とは、
「経営者に近い立場にあり、高い専門性や事業推進力を持つ人材」
と説明しています。
調査によると変革人材がいると答えた会社の9割が、その人材の存在により事業拡大や新規事業の創出につながったと答えています。
社員を「右腕人材」「変革人材」に育成する方法
では、どうすればそんな右腕人材や変革人材を育成できるか?
ずばり「権限移譲」と「経営陣との接点の増加」のようです。
今回の白書では、さらに「人材戦略」という言葉を使っています。
「人材戦略とは、人材を重要な経営資源として捉え、採用・配置、教育、評価及び報酬などの人事施策を構築・運用するための戦略」
と定義できます。
まさに、社員をリスキリングし、その中から「右腕人材」「変革人材」を育成し、全社をあげて事業力をアップさせていくことが重要だと思います。
今回の白書は、目新しいコンセプトはあまりなかったとは思いますが、自社がすべきことは何かを考えるためのチェックシートとして活用できると思います。
アタックスグループは様々な人材育成プログラムを用意しています。
社員のリスキリング、「右腕人材」「変革人材」の育成に関する悩みやご相談は弊社まで。専門家がアドバイス致します。
筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役会長
- 公認会計士・税理士 林 公一
- 1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
- 林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。