この春に新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が発令されて以降、在宅勤務が急速に普及しました。
そして、在宅勤務の普及とともにコミュニケーションの取り方も大きく変化しました。
1つは、対面でのコミュニケーションが減少した分、メールなどのテキストコミュニケーションが大幅に増加しました。
そして、もう1つは対面の会議が減り、オンライン会議が主流になってきました。
メールもオンライン会議も、コミュニケーションの取り方としては、実際に顔を合わせて話をするよりも制約が大きく、伝わりにくいものとなっています。
特にオンライン会議は、リアル会議とはかなり勝手が違います。
オンライン会議で効果的な3つの話し方
オンライン会議をより効果的にする話し方について、以下に3つのポイントを述べたいと思います。
主題を言う
ポイントの1つ目は、これからどういうことを話すのか、ということを発言の最初に短い言葉で言うことです。
日本話し方センターではこれを「主題」と称しています。
「先ほどの提案について、2つ質問があります。」
「その提案に賛成できません。前提条件に疑問があるからです。」
「今のAさんの意見に賛成です。」
オンラインでは、参加者が自宅などのプライベート空間から参加することが多く、その分会議に対する集中度は希薄になりがちです。
そのため発言を聞き漏らしたりすることもあるでしょう。
しかし、今からどういうことを言うのか、という主題をはじめに言えば、参加者は発言の趣旨が把握できるので、理解しやすくなります。
また、通信環境が悪くて発言の一部が聞き取りにくい場合でも、趣旨がわかっていれば大きな支障にはなりません。
発言を短く!最後に繰り返す!
ポイントの2つ目は、発言を短くすること、そして、発言の最後にもう一度主題を繰り返すということです。
オンラインでは、リアルの会議よりも発言するタイミングがつかみにくいという問題があります。
また、発言が長いと参加者はリアルの会議よりも集中力をなくします。
そうすると、発言を聞かずにメールを読み、返信処理をするようなことも起こり得ます。
それを回避するためにも、発言は要点のみを端的に伝えるようにすべきです。
また、発言が途切れたので他の人が話そうとすると、先の発言者が続けて話し出す、ということもよくあります。
そうしたことを防ぐには、発言のタイミングを明確にするルールを作っておいた方がよいでしょう。
具体的には、発言の最後に、
「以上、2つ質問しました。」
「以上により提案に賛成できません。」
「以上によりAさんの意見に賛成です。」
このように、主題を最後にもう一度話すのが効果的です。
「以上です。」でも充分ですが、主題を繰り返した方が発言の趣旨を再確認できるのでよいでしょう。
指示代名詞を使わない
ポイントの3つ目は、指示代名詞を極力使わないことです。
リアル会議では、言葉以外に参加者の表情や場の雰囲気などの情報があります。
しかし、オンラインでは主に言葉しか判断する情報がなくなります。
従って、発言は誤解のないように具体的にすべきです。
「これ、それ、あれ」などの指示代名詞は、何を指すのかが曖昧だったり、聞き手によって指すものの捉え方が違ったりします。
理解の妨げになりますので、オンラインでは極力使わないようにすべきです。
例えば、こういうやり取りがあったとします。
Aさん:
「提案にある5日の調査期間は長いので3日にすべきだし、対象は5地域ではなく3地域でよいと思います。」Bさん:
「それは違うと思います。この調査はできるだけきちんとやるべきです。」
Bさんの「それは違う」の「それ」は期間、対象、その両方のどれを指しているのか曖昧です。
このように書きものにすると伝わりにくいのですが、話している際の指示代名詞は何を指しているかわからないことが本当に多いので、注意が必要です。
以上、オンライン会議をより効果的に行うポイントを3つ述べました。
これらは何れも日本話し方センターのベーシックコースや2日間集中セミナーでお伝えしていることを応用したものです。
日本話し方センターでは、話をするあらゆる場面で使える話し方のポイントを伝えるとともに、人間関係をよくするコミュニケーションの取り方のトレーニングを行っています。
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筆者紹介
- 株式会社日本話し方センター 代表取締役社長 中小企業診断士 横田 章剛
- 1983年 神戸大学卒。メガバンクで、国内・海外の勘定系システムの開発、ガバナンス業務、銀行決算・銀行税務の取り纏めなどに従事。2007年 アタックスに入社し、グループ全体の経営企画、総務、経理、法務等の間接部門を統括。2016年、日本話し方センターの代表取締役社長に就任。研修等で話し方の指導に従事。
- 横田章剛の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。