待ったなし!働き方改革関連法~経営トップに覚悟迫る!

人材育成

昨年国会で成立した働き方改革関連法への対応は、いよいよ待ったなしです。労働時間や条件を政府が規制するのは、あまり望ましいあり方ではないのかも知れません。

一方で、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」により社員の健康への影響が強く懸念され、週60時間を超える労働を無くしていくという方向性は、もはや時代の要請と言ってもいいでしょう。

中小企業の「時間外労働の上限規制」は2020年4月から

今回の柱の一つ、時間外労働の上限規制(罰則付き)は大企業が2019年4月から、中小企業が2020年4月から実施されます。長時間労働が顕著とされる建設業、トラックドライバーなどの自動車運転業務、医師については解決の難度の高さや社会的影響を考慮して2024年4月からの実施となっています。

法律では、これまでの労災判断等において健康障害リスクが高まる「過労死ライン」とされてきた月100時間以上、複数月平均80時間超の時間外労働も明確に禁止されました。

実に多くの企業そして業界が長時間労働の是正、働き方改革に真剣に取り組み始めている中、「中小企業、建設業界は実施までに若干の期間がある」との考えでは、やがて働き手が集まらなくなることは明らかでしょう。

人がいない

大手広告代理店の電通は、過労死事件が起きた後、全社を挙げて様々な取り組みを実行しています。350名の増員、深夜の全館消灯、作業のロボットによる自動化、サテライトオフィスや在宅勤務、月1回の週休3日制の導入、毎日の心身の疲れ調査の実施など、社員が働く環境の整備や生産性向上に約350億円もの投資を行うとのことです。
 

人が集まり生産性の高い会社とは?

これをある大企業の、新聞記事に載るような取り組みとして片づけてもいいものでしょうか。企業のサイズは違えども、社員の労働と成果の重要さ、人材に対する投資の大切さは同じだと思います。

リソースに限りのある中堅中小企業であるからこそ、あらゆる手段を組み合わせて講じながら、社員の労働時間やストレスの低減を図り、同時に生産性の向上を目指していく必要があるでしょう。

残業時間の正確な把握、業務の棚卸とジョブシェアによる時間調整、上司・会社のサポートによる業務負荷の調整、顧客との継続的な対話によるビジネスプロセスの改善、テクノロジーを活用しての業務自動化。情報を仕入れ、知恵を絞り、社員の処遇に対する知見を一層高めていけば、出来ることはまだ多くあるはずです。

場合によってはヤマト運輸のように受注の選別などにも、強い経営意思を持って臨むことが必要になるかも知れません。

元アルバイト職員の「正職員との待遇格差は違法」~大阪高裁の初の判断

もう一つ、法律の重要なポイントを挙げておきます。法律では同一労働・同一賃金の原則の適用も明確に定められました。 2月15日、大阪医科大の元アルバイト職員が「正職員との待遇格差は違法」と訴えた控訴審判決において、大阪高裁は重要なポイントにおいてこの訴えを認める判決を全国で初めて出しました。

今後、働き方と処遇に関する会社の考え方を社員に説明する責任はますます高まっていくでしょう。これに応え得る制度を構築していく必要があります。

働き方改革関連法が成立して法律で強制されるからと受け身に対応するのではなく、「優秀な人材の獲得や育成でも優位に立つ」といった気概をもって働き方/生産性改革に自律的に取り組むことが求められます。

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筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 廣瀬 明
1968年生まれ。企業再生、財務・事業デューデリジェンス業務、M&A、株式公開のサポート等に従事。中堅中小企業への豊富な支援業務を通じて培った知識と経験を活かし、現在大阪事務所のプロジェクトマネージャーとして活躍中。
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