「管理職になって伸びる人・終わる人」
この強烈なテーマは、私が長年登壇している外部拠点主催の講座です。
私が命名したわけではありませんが、毎回60名を超す受講者が集まる講座に成長しています。
管理職を改めて定義すると、組織の中間に立ち、上位者からの指示命令と下位者からの報連相の中継点に位置しており、重要な役割を担っています。
人間の身体が、神経系統が機能して初めてスムーズに動くのと同じように、組織もまた指示命令や報連相が滞りなく流れて初めてスムーズに動かすことができます。
その要となるのが管理職であり、十分に役割を自覚していないと、社員を輝かせるどころか、組織そのものが停滞してしまいます。
管理職とは、
「どのような立ち位置なのか」、
「何を心得なければならないのか」。
今回は、改めて管理職という仕事について、「部下をもつ上司」という点に重きをおいて考えてみたいと思います。
部下を輝かせる管理職の役割とは?
一般社員から管理職に昇進するタイミングは、「仕事人生」のいくつもの節目のなかで、もっとも変化量が大きい転換点です。
プレーヤーとして「自分の成績」、「自分の評価」を極大化することに重きを置いて仕事に取組んできた立場から、部下を持ち「部下を通して組織目標を達成する」立場に変わることで、それまでの仕事のやり方、考え方そのものを変えなければならないからです。
しかし、いまだに多くの企業では、この転換点を極めて重要と認識しておらず、十分に能力開発をする、準備に時間をかける、継続的に学ばせる、ということをしないまま、管理職を任せているケースが多数見られます。
管理職になるということは、言ってみれば「自分のため」からの卒業であり、「部下のため」「組織のため」に尽くすことが期待されていることを自覚することが大切です。
そのためには、まず「自分ファースト」を「部下ファースト」に行動を改めなくてはなりません。
信頼される5つの心得と信頼されない3つの立ち振る舞い
具体的な行動を以下に洗い出してみましょう。
- 部下の「仕事の障害を取り除く」ことが自分の仕事と心得る
- 部下の仕事が「前に進む」ことを支援し、労を惜しまない
- 部下の報連相に最優先で対応する。つまり、「部下の手を止めない」
- 部下に向き合うときには「行動の一貫性」を保ち、安定感を持続する
- 部下の「成長を支援し」、「粘り強く伴走する」ために十分な時間を捻出する
現実には、プレーヤーを完全に卒業することは難しく、労働法改正に伴う残業規制は、管理職の負荷を減らすどころか、仕事の負荷を高めていることも確かです。
しかし、そのような環境であっても部下の成長と組織の成果獲得こそが管理職の本来の役割であることを忘れてはなりません。
また、部下は思った以上に管理職の態度、振る舞いを見ています。
- 「管理職になって急に偉そうな態度に変わった」
- 「それまでは、何でも相談に乗ってくれたのに、
最近は何となく近づきにくい」 - 「笑顔がなく余裕が見られない」
もし部下からこんな風に言われているとしたら、その人は管理職としてまだまだ勉強不足です。
世の中には、管理職になったことで自分が偉くなったと勘違いし、態度が変質する人がいます。
これでは、人も情報も集まりませんし、リーダーシップも発揮できません。
役職が上がるということは、会社から認められ期待されている証拠であり、一定のポジションパワーを持つことは確かです。
しかし、それを笠に着て威張っているだけの管理職、自ら動かない管理職、余裕のない管理職になってしまっては、誰もついてきません。
そして、いくら取り繕っても部下は簡単に、上司の管理職としての器を見抜いてしまうものです。
従って、自分の行動を律しつつ、部下としっかり向き合っていく。
自分はさて置き、「部下のため」「組織のため」に動く、これが大切です。
是非とも、決して「終わる人」でなく、「伸びる人」として、成長し続けて頂きたいと思います。
アタックス・ヒューマン・コンサルティングでは、公開形式で、管理職向け講座を開催しているほか、企業に講師を派遣して、オリジナルの研修プログラムの設計から実施、事後の効果持続のためのフォローアップ、個別の1on1コーチングを提供しています。
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筆者紹介
- アタックスグループ パートナー
- 株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 代表取締役
- 中小企業診断士 北村 信貴子
- 1963年生まれ。中小企業診断士、産業カウンセラー、BCS認定ビジネスコーチ。大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に経営診断や人事制度設計運用・人材育成業務に従事。現在は、後継者育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に特に注力。講演・セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく迫力ある指導には定評がある。
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