マナーは時代とともに塗り変えられる~礼儀2.0の価値観とは?

人材育成

先日、ツイッター上で面白いツイートを発見しました。

「礼儀の定義が変わってきてる気がした
 礼儀1.0
 相手を重んじる。自分の時間を犠牲にし、時間を相手のために使う。
 直接会う。スーツなど服装をわきまえる。
 礼儀2.0
 相手の時間を奪わないようにする
 (電話しない、リモートで済むものはリモート)」
~GOROmanツイッターより原文~

このツイートは、2,000以上ものリツイートがされ、Yahoo!ニュースやその他ビジネス関連のニュースにも取り上げられ大きな反響がありました。

今回は、今後変わりゆくマナーについてお伝えします。

昔の当たり前が今の若者には違和感?

そもそも私たちが日々守っているマナーは、
“何のために守り” 
“本当にそれが今の社会の中で必要不可欠”
なものなのでしょうか。

私がセミナーで話をさせていただく際、皆さんに次のように問いかけています。

「マナーを別の日本語に置き換えると、何と言えますか?」

そうすると、「作法」「配慮」「思いやり」「礼儀」「儀礼」「優しさ」「愛」というキーワードが聞こえてきます。
その1つにある「礼儀」という言葉。
GOROmanさんのツイートにも使われています。

これを分解すると「礼:相手を思いやる心」を「儀:形」にしたものと言うことができます。
私たちの心は、開いて相手に見せてあげることはできませんよね。

いくら相手のことを想っていても、その気持ちを目に見える形で表現しなければ相手には伝わらないのです。
思いやりの心を体現したものが「マナー」であり、私たち日本人が重視する「礼儀」となっています。

冒頭のツイートが述べているのは、“相手を思いやる心”はそのままに、表現方法が時代と共に変わってきているということです。

ビールはラベルを上にして注ぐ、暑いのにネクタイやジャケット着用、メールより電話の方が丁寧、印鑑の角度など……。
形骸化した礼儀はいつの時代も槍玉に挙げられます。

ビールのラベルを上にして注ぐというマナーも、元は銘柄や年代で価値が変わるワインの世界から派生したものです。

古き良き日本の礼儀を大切にすることも大切ですが、若者の間では、上記のようなマナーに非効率さを感じている傾向があります。

情報社会によって個人主義・個人完結が強くなり、自分の時間を奪われることを嫌う傾向が強くなってきたと言われています。

時間に縛られない働き方。
日本でもフリーランスが増えている要因の1つに、このような背景もあるでしょう。

時代とともにマナーの価値観も変わっていく

また、ビジネスニュースサイト『Business Insider Japan』が職場で非効率だと思うビジネスマナーについて読者648人(有効回答数)にアンケートした結果、以下のような意見が挙げられています。

~【礼儀2.0】648人が回答した「謎ビジネスマナー」は日本社会の縮図だった(2018.7.19)より~

・エレベーターに乗る順番。「どうぞどうぞ」とダチョウ倶楽部状態に
・まじないのようなタクシー上座・下座
・役員が来たら仕事の途中でも中断して起立する
・飲み会では場を白けさせないために酒を飲む。
 自分は酒が嫌いだし車で帰りたい
・メールを送ったあとに、電話をしてメールが届いているか確認する
・メールで相手の名前を書いたり「お世話になっております」
 「よろしくお願いします」の定型句を入れる。
 定型句を打たないだけで1通10秒は削減できる
・座って良いですよと3回、席を勧めてもらうまで座ってはいけない
・取引先とのミーティングでノートパソコンを使用するのは失礼。
 でもクライアントによってはiPadの画面で資料を見せるのはカッコいいからOKという不可思議

メールよりも顔を突き合わせたミーティングの方が意思疎通がしやすい。。。
私も1.0礼儀の人間であるとはっとさせられました。

さらに、日本の労働生産性の低さは、かつての成功体験が捨てられず、硬直化した日本的システム・文化が原因の1つと言われています。
今後否応なくミレニアム世代が社会に進出します。

そして、2018年7月法案の成立とともに、日本の働き方改革が本格稼働しました。

世界が猛スピードで進化し続ける今日、時間は今まで以上に貴重なリソースとして認識されることでしょう。

物理的な移動時間の削減を目的としたリモートワークの導入、手軽なリアルタイム通信機器としてのチャットツールの導入もその1つです。

その他会議時間の削減を掲げる企業も多く、事前の資料共有の徹底や、理解しやすい資料のデザインスキル、ファシリテーションスキルの向上に関する研修要望も増えています。

しかしまだまだ対面で行うからこそ構築される人間関係、メールでは伝わりきらない気持ちを電話で伝えることも沢山あります。

このように状況に応じて1.0礼儀と2.0礼儀を使い分けることで、お互いが心地よく過ごしていくことができると思っています。

時代や働き方が変わる中で、マナーにおける価値観が変化することはごく自然なことでしょう。
ただし、相手に対する思いやりの根源は変わっていません。

そう思うと礼儀2.0が大切にしている新しい価値観も「なるほど」と思えるのではないでしょうか。

アタックスでは、マナーの型だけではなく、本質理解に注力した行動変容型伴走支援や、管理職向けの「いまさら聞けないマナー講座」も個別企業ごとにカスタマイズしご提供しています。

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筆者紹介

株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 人事コンサルタント
ワーク・ライフバランス認定コンサルタント
江上 久美子
愛知県生まれ。名城大学人間学部卒業後、アパレルメーカーにて勤務。アタックス入社後は、主に人材育成、人事制度構築・運用、労務管理支援業務に従事している。マナースキルに強みを持ち、「ワークもライフも楽しく、やりがいを!」をモットーに、「ビジネスマナーを活かした良好な職場環境づくり」を推進している。

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