「目標」とは、経営者が全社員とともに歩む道~目標がなければ会社の動きはストップする!

会計

会社経営を取り巻く現在の状況は、単に不況というよりも、混迷の時代という表現がぴったりの、全く先が読めない状況が続いています。これは、ヨーロッパの金融危機など、世界規模の動きが経済へ影響するのと、日本は日本で、人口減に市場の縮小など、一企業ではどうにもならない大きな動きに経済全体が影響を受けるからでしょう。しかし、そのような、どうにもならない時にでも、会社は生き残って行かねばなりません。

私が申し上げるまでもなく、社長は自社がどうすれば競争に勝ち抜けるか(会社を存続させることができるか)について、日々お考えになっておられると思いますが、ここでは、会社の「目標を立てる」ということについて考えたいと思います。

目標を設定することの重要性について、カレーハウスCoCo壱番屋の宗次創業者特別顧問は「経営者は夢を持つな、目標を持て!」と言われています。

また、弊社の顧問で、会社力研究所の長谷川和廣先生は「目標なくして計画なし、計画なくして行動なし、行動なくして成果なし」と、目標を設定することで会社は成果を出すことが可能になる、と言われています。そのくらい、目標を設定することは会社の経営に重要なことなのです。

これは、日本という国をみてもわかります。1番分かりやすい例が「原発」問題でしょう。福島原発の事故から1年が経過しようというのに、何の方針もなく、全ての原発が止まろうとしています。これは原発の将来(方向性)に何の目標設定もできないことに原因があることは明確です。

目標を立てますと、その目標をどのように達成するかという道筋を考えることになります。よく、予算を計上しても、予算達成のための道筋を考えなかったため、成り行きで1年が過ぎてしまい、ほとんどの予算数値の達成ができなかった、達成したのは経費の使い方だけという笑えない話を聞きますが、それではいけません。

更に、目標を達成するために何をしなければならないか、という道筋を行動計画に落とし込むと、「これはこうしないとできない」という自社の問題点が出てくるはずです。例えば、材料費の比率を10%改善するという目標を立てたとします。その目標を達成するために何をしなければならないのでしょう?

①材料の購入単価を下げる交渉を行う。
②材料のロスをなくす。

以上の2つの視点から、「誰が・いつまでに・何をするか」という行動計画に落とし込みます。この時に、「単価を下げる交渉を行ったら今の購入量を50%増やしていただければ、○○%値下げしますと言われた。実現するためには、購買先を絞り込んだり、絞り込むために材料の変更にも対応しなければならない。」ということが問題点から課題になり、この課題を解決することを更に考えて対策を打ち実現していく行動を繰り返すことになります。

この、「課題解決のための行動を繰り返す」ことが、全社員のレベルを上げ、会社を強くするのです。アタックス戦略会計社では、この経営手法を「計画経営」と呼んでいます。

とにかく、目標を設定しないと、目標達成への道筋も課題も見えてきません。逆に、目標を立てればそれらが見えてきます。ぜひ、しっかりと目標を打ち出しましょう!

目標を設定することが大切であることをご理解いただいたところで、では、どのような目標を全社に示したらよいのか?ということになります。

ぜひ、財務の数値をベースにして、会社の財政状態・収益性・キャッシュフローを良くすることを目的とした目標にしてください。私がお薦めするのはROA(総資産経常利益率)と売上総利益率です。ご存知のとおりROAは、経営の基本である「投資とリターン」の追及する目標になりますし、売上総利益率は、会社が生み出す利益の根源となるものです。

社長、この指標の5年後の目標値を全社に掲げ、達成への道筋を、課題を解決しながら全社員と共に歩まれてはいかがでしょうか?

筆者紹介

株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡 正輝
1952年生まれ。アタックス税理士法人の前身である公認会計士今井冨夫事務所に入社。現在は、アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に計画経営の推進、経営再構築、事業承継等のコンサルティング業務に従事、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。
片岡正輝の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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