中小企業の設備老朽化に警鐘!~未来投資は投資回収効率を試算せよ

投資回収効率 会計

2016年度版の中小企業白書によれば、2015年の中小企業全体の経常利益は2009年に比べて2.5兆円増加しているそうです。

経常利益の増加要因は、
(1)原料・エネルギーコスト等の減少による変動費減少で+1.7兆円
(2)従業員や企業数の減少による人件費減少で+1.6兆円
(3)売上高減少で▲0.9兆円
となっています。

リーマンショック以降の売上高の減少に対して、徹底した効率化・省力化に取り組んでいる中小企業の努力をうかがい知ることができます。

また同白書は、設備老朽化が進んでいることも指摘しており、1993年の設備年齢を100とすると2014年の中小企業の設備年齢は175.7(大企業143.4)と約1.8倍も老朽化が進んでいることになります。

これらのことから、中小企業にとって今の収益力を原資に、将来に向けた投資を検討することが必要な段階にきているといえます。

同白書においても、労働生産性が大企業よりも高い中小企業は設備投資・情報通信投資に積極的であるとしています。

また、今後の投資について
(1)IT投資、(2)海外展開、(3)リスクマネジメント
の3つの方向性を紹介しています。

そこで重要になってくるのが投資の判断方法です。

投資判断においては、投資毎のメリットとデメリットを比較して効果が高いものを選択することになりますが、財務面においては投資の回収効率性が一つの基準となります。

一般的に投資の回収効率を測定する方法として、
(1)現在価値を基準にするNPV法
(2)期待収益率を基準にするIRR法
(3)投資の回収期間を基準にする回収期間法
があげられますが、この中でもわかりやすく、簡単に測定できるのが回収期間法となります。

回収期間法とは、投資で得られる経済効果を時系列の損益計画に落しこみ、それから得られるキャッシュ・フローで投資総額を何年で回収できるのかを測定する方法です。

投資の回収期間の目安は5年といわれていますが、昨今の経済情勢の変化や技術革新のスピードが考慮され短くなる傾向にあります。

また、この回収期間法のひとつのメリットとして、関係者をまきこんで損益計画を策定・共有することにより、関係者のアクションプランと期限・目標に対する認識が統一され、そのまま経営管理サイクル(PDCA)につなげられることがあげられます。

今後の投資判断においては、損益計画をしっかりと策定し、回収期間法により投資の回収効率を測定してみてはいかがでしょうか。

アタックスグループでは、投資判断を含めた事業計画の策定方法にお悩みをお持ちの経営者の皆様のご相談を承っております。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士 池ヶ谷 穣次
1993年 静岡県立大学卒。MBA。中堅中小企業の経営管理制度・管理会計制度構築サポート、事業再生サポート、財務・事業デューデリジェンス業務、M&Aサポート、株式公開支援、月次決算支援業務等に従事。システムエンジニア時代に得たシステム思考を応用し、経営者・経理責任者の参謀役として活躍中。
池ヶ谷穣次の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました