今こそ、真の中期経営計画を策定しましょう。

会計

パナソニックやシャープ等の日本を代表する大手家電メーカーが 大幅な赤字に転落しました。まさに 将来予測が計画通りにいかなかった中期経営計画の失敗と言えるでしょう。

イメージこんなにも急激に落ち込んだ要因は何なのか それは明らかにマーケット(欧米、新興国)に対する読みの甘さ、かつての品質に対する驕りがあったのでは、と考えざるを得ません。

このように計画通りにいかないのは家電業界に限りません。中期経営計画を策定している日本の企業の5割近くが、営業利益目標が未達成です。何故こんなにも未達成が多いのか。その理由は、大きく二つあると考えています。

一つは 計画そのものが短期的な視点だけでみていて 目先の利益を追ったものになっていることです。将来にしっかり儲けるための準備となるような計画を策定していなかったことは、業績不振の大きな要因と言えるでしょう。

今こそ、自社の競争力の源泉である強みを徹底的に洗い出し、さらに強くする為の施策を考えるべきです。そのための投資として、M&Aや設備の入れ替え、人の教育を計画的に進めなくてはなりません。どの領域で、その強みを発揮すると一番になれるかを見極めるのが、将来の成功の鍵になるでしょう。

もう一つの重要な要因は、その計画を実行する組織とその個々のメンバーの意識の問題です。この計画を成功させないと企業の明日はないという危機感、他責ではなく自責と捕らえて積極的に取り組む当事者意識、全社一丸となって達成しないといけないという一体感などが欠如していたのではないでしょうか。

この三つの意識づけは、計画を実行するうえで極めて重要です。日産のゴーン社長や日本航空の稲盛会長の成功は、これらの意識を旨く醸成できたからです。もちろん、これらの意識を長く継続させる為には、月次決算や部門別損益計算を実施して見える化を図らないといけません。どうやって社員のマインドを上げて、中期経営計画に参画させるのかを絶えず意識せねばなりません。

現在のような厳しい環境下だからこそ、全社で一つの目標に取り組むことが重要ですし、現場を強化して判断のスピードUPを図る必要もあります。その為に中期経営計画を策定し(P)、実行し(D)、チェックし(C)、改善する(A)サイクルが有効になるのです。

先手必勝でいきましょう。ピンチはチャンス。日本の未来は、中小企業の繁栄にかかっています。今こそ、明日の基盤を、中期経営計画でつくりましょう。

筆者紹介

アタックスグループ 主席コンサルタント 川越 章
1978年 青山学院大学卒。General CFO (日本CFO協会及び米国財務プロフェッショナル協会認定資格)。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。80年 アタックス税理士法人の前身である今井会計会計事務所に入社。税務業務、経理支援、民事再生、企業の再建、企業の成長支援等の業務に従事。現在はクライアント企業の経理・財務の社外CFOとして、またアタックス社長塾にて後継者のコーチとしても活躍中。
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