損益分岐点はどんなときに使うのか?
損益分岐点分析を利用することで、将来なんらかの事情で売上が減少した場合に、「どの程度までの売上の減少なら会社が赤字を出さないで経営ができるか」を判断することができます。
利用する指標は、損益分岐点比率と経営安全率です。
損益分岐点比率
損益分岐点比率は、「現実の売上高」と「損益分岐点売上高(利益がゼロとなる売上高)」との比率です。
黒字であるためには、当然、「現実の売上高」は「損益分岐点売上高(利益がゼロとなる売上高)」より大きくなければなりません。
つまり、分母(現実の売上高)の方が大きくなければなりませんので、黒字であるためには損益分岐点比率は100%以下でなければならない、ということです。
(損益分岐点売上高については、「損益分岐点分析で利益の稼ぎ方を検討する」を参照ください。)
損益分岐点比率が低いほど、将来の売上減少に耐える力が強くなり、経営が安定しているということが言えます。
一般的に80%以下であれば優良企業と言われています。
損益分岐点比率が100%以上であれば、会社は赤字の状況であり、この比率を100%以下にするための対策を打たなければならないことになります。
経営安全率
経営安全率は損益分岐点比率を経営安全度の立場から見たもので、数式を見て分かる通り、100%から損益分岐点比率を引いたものです。
たとえば損益分岐点比率が80%の会社であれば経営安全率は20%となります。
損益分岐点比率が100%以上だと会社は赤字ですが、損益分岐点比率が80%であればまだ20%余裕があるということになります。
つまり、売上高が今後20%減少しても赤字経営にはならない、ということを意味しています。
このような視点で見るのが経営安全率です。
現在のような厳しい経営環境にあっては、会社は真剣になって損益分岐点の切り下げを行い、脇を固めた無駄のない経営をすべきでしょう。
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筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 丸山 弘昭
- 数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
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