中小企業金融円滑化法が終了して1ヶ月が経ちました。
この法律は、リーマンショックなどによって多くの国内企業が深刻なダメージを受けたときに、借入金返済の一時的な緩和措置を中小企業が受け易くすることを主な目的として制定されたものでした。
イメージ3年余という相応の期間を経てこの3月末に法律は終了しました。
そもそも企業活動上における命題として、事業に投下する資金と調達する資金、投下資金とそこから得られる利益、この2つのバランスを保って経営の効率を高める、ということがあります。借入金返済という問題は、この経営効率(利益と投下資金)と密接に関連しているのです。
中小企業の経営を「側面」から「一時的」に支援した円滑化法が終了した今、この普遍的なテーマがふたたび中小企業自身に問われてきます。
経営効率が一定水準以上に保たれているのならば、その企業には借入金の水準や返済に関して、深刻な問題にはならないでしょう。
しかし、厳しい環境下で今もなお、赤字や低採算、黒字ではあるけれども投下資金や借入金とのバランスが大きく崩れている、といった悩みに直面しておられる中小企業が多いのが現実です。
これら中小企業にとって、その悩みを解決するには次のような取り組みが欠かせません。
(1) 自社の正しい現状認識
(2) (1)にもとづく多面的な原因分析
(3) (2)を踏まえた抜本的な経営改善プランの立案
(4) (3)をもとにした金融機関との真摯な議論
(5) (3)の組織的推進
なぜなら、これら中小企業の悩みは自然に好転することは少ないからです。厳しいことも含め現状に正面から向き合い、根本的な解決を導き出して行かなければなりません。
これらすべてを自社で対応しきれない場合もあるでしょう。円滑化法終了と並行して、新しく中小企業経営力支援強化法が制定され各地に相談窓口が置かれています。ほかにも中小企業向けの様々な制度がありますので、メインバンクなどと相談されて有効に活用されることをお薦めします。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 廣瀬 明
- 1968年生まれ。企業再生、財務・事業デューデリジェンス業務、M&A、株式公開のサポート等に従事。中堅中小企業への豊富な支援業務を通じて培った知識と経験を活かし、現在大阪事務所のプロジェクトマネージャーとして活躍中。
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