国内航空3位のスカイマークが自力での経営再建を断念し、1月28日、民事再生法の適用を東京地裁に申請、受理されました。
民事再生法の適用は、事業継続を前提とするものの、倒産の一種で企業経営が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった企業に適用され、再建計画において、債務の一部減額を依頼することになります。
この弁済しなければならない債務は、貸借対照表の負債金額で把握することができ、業績が悪化している企業の負債は、金融機関からの借入金がほとんどとなりますが、直近で同社が公表している2014年9月期の貸借対照表の負債には、借入金が計上されていない無借金経営を実現していました。
さらに、同期の負債金額385億円に対し、主に弁済不要な資本金および過去に積み立てた利益をあらわす純資産は389億円と負債を上回っており、安全性の高い財務内容となっていました。
それにも関わらず、同社が負債を弁済できない状況に陥った予兆は、キャッシュフロー計算書に表れています。
キャッシュフロー計算書は、期間内の資金増減の要因を明確にする資料であり、その要因は、営業・投資・財務の3分類となります。
同社の過去直前3期間(2012年3月期~2014年3月期)の各分類のキャッシュフローの状況は、以下の通りです。
・営業キャッシュフローは、
激減傾向にあるものの期間内全てプラスで累計値は+110億円
・投資キャッシュフローは、
毎期100億円以上の投資が行われ、期間内全てマイナスで累計値は▲379億円
・財務キャッシュフローは、
2012年3月期に主に増資で175億円の収入があり、累計値は+171億円
この状況により、現金残高は2012年3月期の306億円から2014年3月期には70億円と激減しましたが、この要因は、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合算したフリーキャッシュフローが、累計値で▲269億円となったことにあります。
つまり、投資活動の主な支出である設備投資に対し、営業活動の主な収入である利益獲得のバランスが悪かったのです。
当然、設備投資は今後の利益獲得のために必要なものであり、特に、大型の設備投資は企業の生死に大きな影響を与えるものです。
大型の設備投資を行う場合には、その投資金額を回収できる利益獲得を中心とした慎重な計画に基づいて、事業を展開する財務アタマが必要となります。
今回のスカイマークの経営破綻は、キャッシュフローの把握が会社にとっていかに大切なものかを教えてくれるものであり、是非とも他山の石として頂きたいと思います。
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筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 錦見 直樹
- 1987年 富山大学卒。月次決算制度を中心とした業績管理制度の構築や経理に関する業務改善指導を中心としたコンサルティング業務に従事。グループ7社を有す中小企業の経理・経営企画部門出向中に培った豊富な経理実務経験を武器に、経営者、経理責任者の参謀役として活躍中。
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