事前準備を「したつもり」で訪問する営業のムダ

営業

私は、企業の現場に入って目標を絶対達成させる指導をおこなっています。業界業種を問わず、訪問販売員の育成から、兆を超える売上を達成させるためのマネジメント指導まで、様々な企業の営業現場で営業パーソンを指導しています。

その営業現場で年々悪化していると感じること、それは営業がお客様を訪問する際におこなう「事前準備」です。

「あなたはお客様を訪問するにあたって、きちんと事前準備をしていますか」と問えば、多くの営業パーソンは「あたり前です」と答えられるでしょう。 しかし、お答えいただいた「あたり前の事前準備」、それが「具体的に」どのようなことがなされているか、が大切です。

その事前準備の内容の多くは、お客様を「知っている状態」にとどまっているのではないでしょうか。

新規のお客様への初めての訪問であれば、売上、従業員数などの定量情報に加え、理念や組織、あるいはビジネスモデルなど、公知になっている様々な情報を知る。
また既存のお客様への訪問であれば、ご採用いただいているサービスや、過去のやり取りなどを知る。

これらの情報を知ったうえで訪問するのが「あたり前」と言われれば、その通りだと思われる方も多いでしょう。

しかし、この「知っている状態」で事前準備は充分と言えるのでしょうか。

繰り返しになりますが、私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるための指導をおこなっています。「知っている状態」は事前準備のスタートラインについたところ。 それをもとに、どのようなことでさらにお役に立てそうか、お会いできるこの機会に、どこまでのことをおこなうのか、「仮説と落しどころ」をもってのぞむことが、営業がお客様を訪問する際におこなう「事前準備」です。

これが絶対達成させようという営業パーソンの「あたり前」の基準と私どもは考えています。 弊社が提唱している予材管理では、「仮説と落しどころ」を白地と定義し、最低でも目標の2倍の白地をもって営業にあたることを徹底します。

今は会社の机に座ったまま、パソコンの端末から多くの情報を知ることができます。 そして、目標を絶対達成させるという、営業パーソンとして「あたり前」の役割を求めただけで、世間からも部下からも異論めいたものが出てくるご時世です。

私はもちろんのこと、この記事をお読みの多くの皆様が営業の現場にいた時代はいかがでしたか? 情報など容易に手にすることもできない中、売上をあげてくるまで事務所に戻るなと言われることが珍しくなかったと思います。

それゆえ、お客様とお会いできるわずかな時間で聞くべきこと、お伝えすべきことを考え抜いたうえで、訪問していたのではないでしょうか。

せっかくお客様にいただいた時間をムダにしないためにも、「知っている」ことで事前準備をしたつもりになっていないか、今一度、振り返りましょう。 そして、営業の本分である、目標を絶対達成させるための「あたり前」を習慣化させる、これこそが、成果を確実にあげる要諦です。

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 取締役 桑原 賢一
1999年 同志社大学卒。大手化粧品メーカーにて、経営指導から現場販売員の指導育成に携わり、延べ100名以上のトップセールスの育成実績をもつ。アタックス参画後は、上場企業の営業戦略構築、小規模企業の営業組織に対しての直接指導、営業職の個別指導等にあたっている。コンサルティング支援における行動変革率は100%を誇る。
桑原賢一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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