平成29年度税制改正について~中小企業関連~

税務

昨年の12月に平成29年度税制改正大綱が公表されました。
改正案のうち、自社株の評価方法の変更については、1月19日発行のアタックスネットでお知らせしました。今回は、中小企業に関係する改正案について主なものをお伝えします。

1.大企業並みの中小企業の特例除外

法人税では資本金1億円以下の会社(大規模会社の子会社は除く)を中小企業とし、様々な特例を規定しています。 基準が資本金額であるため、特例を受けるために大規模な会社であっても資本金を1億円以下にしておく会社が少なからずあり、課税上問題があるとされていました。

今回の改正案では、中小企業であっても「平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度」については、中小企業向けの租税特別措置を停止するとしています。 所得金額とは税務上の利益で、税務調整がなければ、会社の税引前当期純利益と概ね近い金額です。(売上ではありません)

適用不可となる特例は、

(1) 中小企業者等の投資促進税制(機械等を取得した場合の特別償却・税額控除)
(2) 少額減価償却資産の即時償却(30万円以下の資産で合計300万円まで)
(3) 法人税率の軽減税率の特例(原則19%が15%で適用)等
ただし、適用不可の特例は租税特別措置法に係るものなので、法人税法上の特例は引き続き認められるものと考えられます。
(4) 欠損金の控除制限
(5) 欠損金の繰り戻し還付制度
(6) 貸倒引当金の損金算入制度 等

2.中小企業経営強化税制の創設

平成29年3月末までは、中小企業投資促進税制の上乗せ措置として一定の要件に該当する機械等では即時償却(100%償却)が認められていました。 この制度を受けて、4月から、「中小企業経営強化税制」が新たに設けられました。

設備投資に対し即時償却、もしくは、7%(10%)の税額控除が可能となります。 適用できる設備は、機械装置、ソフトウェアに加え、器具備品、建物付属設備(それぞれに金額基準あり)で、いずれかの基準を満たすものです。

(1) 生産性が年平均1%以上改善する設備(生産性向上設備:A類権)
(2) 投資利益率が5%以上の投資計画に係る設備(収益力強化設備:B類型)

この基準は改正前の上乗せ措置と同じですが、加えて「経営向上計画の認定」が要件となっていますので、取得にあたっては厳密なスケジュール管理を行っておく必要があります。

即時償却を選択するか税額控除を選択するかは、企業の状況で判断すればよいようです。いずれにせよ大きな節税効果がありますので、設備投資を計画している場合は、この制度の利用を前向きに検討されてはいかがでしょうか。

アタックス税理士法人(東京・名古屋・大阪)では税制改正を踏まえた最新の情報と豊富な経験により皆様のご相談を承りますので、こちらからお気軽にお声かけください。

筆者紹介

アタックス税理士法人 代表社員COO 税理士 愛知 吉隆
1962年生まれ。中堅中小企業から上場企業に至るまで、約800社の税務顧問先の業務執行責任者として、税務対応のみならず、事業承継や後継者支援、企業の成長支援等の課題や社長の悩みに積極的に携わっている。
愛知吉隆の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
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