2017年度税制改正に向けての議論が進んでいます。日刊新聞の紙面にも税制改正に関する記事を頻繁に見かけるようになりました。
世間一般では、配偶者控除の行方などに高い関心が寄せられていますが、ここでは法人課税について少し触れたいと思います。
法人課税に関する最近の主な記事に次のようなものがあります。
「研究税制 サービスにも AIなど活用後押し」
「中小企業、賃上げ率高いほど法人税安く」
「稼ぐ力向上へ 税軽減で 事業分離や利益連動報酬」
税制改正の正式な内容は、12月中旬ごろに公表予定の、「税制改正大綱」を待たなければなりませんが、最近の税制改正の方向性を踏襲する形で、
(1) 利益を上げている企業の再投資余力を増大させ、収益改善に向けた企業の取組みを後押しする
(2) 国内に稼ぐ力のある企業や新規開業企業をつくる
ことを主眼に置いた法人税改正になりそうです。
ここで、税制と企業経営について少し考えたいと思います。
法人税などの税金は、企業経営を行ううえで必要なコストです。だとしたら、販売戦略や人財戦略などと同様に、税務戦略も経営戦略の一つとして捉えるべきではないかと思います。
税務戦略は、最新の税務情報、税制改正内容をタイムリーに把握し、そのメリット・デメリットやリスクを正しく分析し、経営者や経営幹部の方々が適切な意思決定を行うためのものです。
必要なコストを適切にコントロールすることは、企業経営において、まさに重要な成果であると言えるでしょう。
そして、税務戦略は中堅中小企業にも求められます。 たとえば、今回取り上げられている研究開発税制の見直しでは、ITなどを活用したサービス開発が対象に加えられる模様です。
これまでの研究開発税制の活用実績は製造業を中心に約7割が中小企業ですが、今後はIT企業にも活用のチャンスが大いにあると思われます。
また、多くの企業が活用してきた所得拡大促進税制(※)についても、大企業並みに賃上げを行なった中小企業に対し、これまでの税額控除を倍増する見直しが検討されています。
好業績が見込まれる企業が決算賞与と組み合わせながら、そのメリットを得ることも十分に考えられるのではないでしょうか。
(※)一定以上の賃上げを行なった企業に対して法人税の税額控除を認める制度
最後に、効果的な税務戦略を考えるうえで、経営者と経営幹部の方々に、ぜひ頭に入れておいてほしいのは、次の3つです。
(1) 税務情報や税制改正内容について敏感になる。
(2) 管理部門や経理部門に税務戦略の重要性を理解させる。
(3) そして税務のプロの知恵を積極的に活用する。
アタックス税理士法人(東京・名古屋・大阪)では、税務顧問業務のなかで、皆様の会社の税務戦略を一緒に検討してまいります。お気軽に下記からご相談ください。
筆者紹介
- アタックス税理士法人 代表社員COO 税理士 磯竹 克人
- 1987年 名古屋市立大学卒。税務・会計の業務を中心に数多くのクライアントに対する指導実績を持ち、親切で丁寧な指導が厚い信頼を得ている。現在は、事業再構築支援、事業承継支援、資本政策支援などを中心にクライアントの問題解決にあたっている。
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