先日、新聞を読んでいて下の記事に目がとまりました。
フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)が東京国税局の税務調査を受けて、2016年6月までの2年間で、約1億円の消費税の申告漏れを指摘されたことが30日、関係者の話で分かった。過少申告加算税を含めた追徴税額も1億円程度とみられる。
ご存知の通り、メルカリは6月19日に東証マザーズに上場し、公募価格3,000円に対して初値が5,000円だったことから、今年上期では最大級の新規上場銘柄といわれています。
メルカリのHPによると、メルカリポイントの消費税法上の取扱いについて国税当局との認識に相違があったとしています。
ネット上で売り手と買い手が自由に参加できる取引市場「マーケットプレイス」を運営しているメルカリは、「マーケットプレイス」に参加することの対価として「メルカリポイント」を利用者に発行しています。
そして、利用者はこの「メルカリポイント」を使って商品を購入することが出来ます。
利用者が実際に当該ポイントを利用して「マーケットプレイス」で商品を購入した際、メルカリは当該ポイントを費用として認識し、消費税法上の課税仕入として処理したようです。
一方、国税当局はこれが課税仕入に該当しないという見解を示しました。
消費税は、お客様から預かった消費税(A)から自社が払った消費税(B)を差し引いて算出((A)-(B))します。
課税仕入として処理するということは、(B)が増えることを意味します。結果、納税額は減少します。
逆に課税仕入に該当しないということは、(B)が減少することを意味します。結果、納税額は増加します。
今回は後者のケースで、約1億円納税額が増加したようです。
では、メルカリは、こうした国税当局の指摘を受けないためにどうすべきだったのでしょうか。
本来であれば、ビジネスモデルの根幹を成す「メルカリポイント」の消費税法上の処理方法は、複数の税理士で検討すべきだった、と筆者は考えます。
当然メルカリには顧問税理士がいるでしょうし、ビジネスモデルについて税務的な検討はしているはずです。
しかし、今回のケースでは、複数の税理士による検討が行われたのか、甚だ疑問です。
恐らくされていない、と筆者は考えます。
なぜなら、本件について問われれば、国税当局の見解のように課税仕入れに該当しない、と判断する税理士は少なからずいると思うからです。
税務調査の詳細な内容は当然分かりませんので断定は出来ませんが、筆者も本件は課税仕入れには該当しないと考えています。
新たなビジネス形態が増え、取引も複雑になっていく昨今、顧問税理士以外のセカンドオピニオンの重要性が非常に高まっていると感じます。
弊社でも、「顧問税理士はいるが、別の税理士の意見(セカンドオピニオン)が聞きたい」というお問合せが増えてきています。
想定される税務リスクが大きいと思われる案件について、そのリスクを小さくするために、顧問税理士以外のセカンドオピニオンをうまく活用することを検討されてはいかがでしょうか?
アタックス税理士法人では、通常の税務顧問だけでなく、セカンドオピニオン税務顧問も積極的に対応しています。
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筆者紹介
- アタックス税理士法人 税理士 海野 大
- 1996年 法政大学卒。税務顧問業務をはじめ、税務コンサルティング業務や組織再編実行支援業務のプロジェクトリーダーとして活躍中。税務指導のほか、経理業務改善、経営財務面からの強い会社づくりにも注力している。
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