令和3年度税制改正のポイントをおさえよう!
令和3年度の税制改正が3月26日に可決・決定されました。
税制の役割は、財源調達機能、所得再配分機能、経済安定化機能と言われますが、今年の改正は、3つ目の経済安定化の機能が色濃く出たものといえます。
令和2年はコロナに振り回された年でした。
日本経済に与えた影響は相当大きく、日本の課題として経済活性化のためには再生がカギと言われています。
そのため、令和3年1月18日からの第204回国会(通常国会)では、産業競争力強化法の改正案が提出されました。
そこでは、「新たな日常」に向けた取り組みのため、長期的な視点に立った企業の変革を後押しすることを目的とし、ポストコロナにおける成長の源泉となるべく
(2)デジタル化への対応
(3)新たな日常に向けた事業再構築および事業環境の整備
(4)中小企業の足腰強化等の措置
を講じる必要があるとの認識が示されています。
この産業競争力強化法の改正は令和3年度の税制改正につながっており、新たに創設された税制も関連性が強いものとなっています。
カーボンニュートラル投資促進税制の創設
(2)デジタル化への対応
DX投資促進税制の創設
(3)事業再構築、事業環境の整備
株式を対価としたM&Aの株式譲渡益の課税繰延制度の創設
認定事業適応法人の欠損金の損金算入の特例
(4)中小企業の足腰強化
中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設
この中で、カーボンニュートラル投資促進税制、DX投資促進税制、認定事業適応法人の欠損金の損金算入の適用要件として、産業競争力強化法の定める「事業適応計画」の認定が必要となります。
これは、
「我が国産業の持続的な発展を図るため、情報技術の進展、エネルギーの利用による環境への負荷の低減等に対応する事業変更を行おうとする者についての計画認定制度の創設」
として取り入れられたものです。
事業適応計画認定の要件は、それぞれの税制により異なります。
※財務省のホームページの「令和3年度税制改正」の中でそれぞれの要件等を示しています
今回は、産業競争力強化法と税制の関係を解説しました。
このような政策に基づく税制は、背景となる事実と、我が国がどのような「あり方」を目指し、そのための目標は何であるかを知ることで理解が深まります。
令和2年12月に公表された税制大綱について、経済産業省が公表した資料でも、コロナ禍においての経営環境の悪化で赤字企業の事業再構築の重要性を綴っており、その努力を後押しするための税制であり、今回の改正のポイントと考えます。
筆者紹介
- アタックス税理士法人 代表社員COO 税理士 愛知 吉隆
- 1962年生まれ。中堅中小企業から上場企業に至るまで、約800社の税務顧問先の業務執行責任者として、税務対応のみならず、事業承継や後継者支援、企業の成長支援等の課題や社長の悩みに積極的に携わっている。
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