会計のIT化~避けては通れぬ大きな変化にどう対処すべきか?

経営

今、会計業界は、大きな時代の変わり目に直面しています。
それが、「会計のIT化」です。

筆者は税理士として、日々会計や税務の問題に関わっていますが、今回は、このテーマについて考えてみたいと思います。

税理士視点から見るIT化の影響

まずは、税理士業界に与える影響です。

弊グループ顧問の元国税庁長官、大武健一郎氏がこんなことを仰っています。

「近い将来、税理士という職業はなくなるだろう!」

元国税庁長官からの辛辣な言葉に強い衝撃を受けました。

誤解がないように少し補足をしますと、記帳代行を中心とした、従来型の税理士の仕事は近い将来なくなるだろうという意味です。

その理由がまさに「会計のIT化」と言えます。
現在、freeeやマネーフォワードといった安価で、使い勝手の良い会計ソフトが市場シェアを急激に増やしています。

これらの会計ソフトの特徴は、ITというツールを使い、ユーザーのニーズに合わせて、常に進化をし続けているという点です。

例えば、チャット機能によるユーザーからの問い合わせ対応や銀行口座との連動による自動仕訳機能などが、その代表例と言えます。

これらの進化は、AI、いわゆる人工知能の一般化に伴い、さらに拍車がかかるものと予想されます。
近い将来、記帳を全て自動入力できる日がやってくるかもしれません。

では、こういった市場環境の変化に、税理士はどう対応すべきか?
会社の経営にとって重要なことは、数字を作ることではなく、数字を使うことのはずです。

記帳に忙殺されるのではなく、タイムリーに試算表を作り上げ、そこから見える経営課題を認識し、適切な施策を考える。

こういったことのお手伝いをするのが、税理士の責務であり、まさに、これからの時代に求められる役割だと考えています。

中小企業視点から見るIT化の影響

では次に、クライアントの立場で「会計のIT化」を考えてみようと思います。
特に、中小企業という視点から見てみたいと思います。

先日、新規のクライアントから、こんな相談を受けました。
「うちの会社は、経理から試算表がなかなか上がってこない。何とか、もう少しタイムリーに試算表が出来上がるようにならないか?」

早速、会社に訪問し、試算表が出来上がるまでの経理フローなどを関係者にヒアリングしてみました。

二人の経理の方は、70代と高齢で、昔ながらの記帳方法をとっていることが分かりました。

最終的には会計ソフトに入力を行うのですが、その前段階で、全ての仕訳につき、手書きで振替伝票を作成しており、その作成に多大な時間がかかっているとのこと。

また、手書きであるがゆえに、書き間違い、計算間違い等のヒューマンエラーもかなり多いとのことでした。

一方で、システム関係の方にお話をお聞きしたところ、仕訳入力すべき全ての数値情報は、社内システムで別途管理されており、この社内システムと、会計システムを上手く連動させることで経理フローを飛躍的に改善できることが分かりました。

経理がブラックボックス化してしまっており、一度で済むことを繰り返し行っているために作業的、時間的なロスが生じていることが大きな問題点でした。

昔からこうやっているので、という固定観念が強すぎたのも問題点の一つであったように思います。

事実、社長からは、「振替伝票は必ず作成しなければいけないと思っていた。」との話があったほどです。

このように、「会計のIT化」はクライアントにも大きな影響を及ぼしています。

ITをうまく活用しよう!

従来のやり方を見直し、より効率の良いやり方に変えていく、その一つの切り口が、まさにITの活用だと思います。

また、中小企業は上場企業などに比べると優秀な人材を確保するのが難しい状況にあります。

人材を補完する一つの手段としても、ITの活用は必要不可欠であると言えます。
「会計のIT化」という大きな波を恐れるのではなく、上手く乗りこなすのが、これからの企業経営のヒントではないでしょうか。

アタックスグループでは、ITを活用した業務改善など、会計・税務に関する様々な課題について常時ご相談を承っております。
お気軽にこちらからお問い合わせください。

筆者紹介

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アタックス税理士法人 社員 税理士  長沢健史
2001年 法政大学卒。主に中堅企業から上場企業に対する税務顧問、税務コンサルティング業務に従事。企業再生支援業務等にも携わる。組織再編、連結納税等の手法を利用したタックスプランニング、資本政策の策定に強みを持つ。
長沢健史の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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