今回は「CEOアジェンダ(経営者の仕事)に求められる視点」に関して、考えてみたいと思います。
アタックスグループでは、後継者・次世代幹部を中心にした選抜経営人財育成塾「アタックス社長塾」を東京と名古屋で開講しています。
その社長塾では、「CEOアジェンダ」として、4つの項目を掲げています。
(1)自らの人間力を高め、それをベースに「経営理念」を練り上げる
(2)競争に勝てる「中長期戦略計画」を定めて、実行の指揮を執る
(3)「人財育成」して社員間の関係性を深め、チームの主体性を引き出す
(4)社内の誰も対応できない「大きな例外事項」を決断し解決する
経営者の仕事として、「経営理念」「中長期戦略計画」「人財育成」「大きな例外事項」の4つを、一流の経営者は強く意識しています。
この経営者の仕事を全うし続けるためには、CEOの独自の「視点」が必要です。
特に、CEOアジェンダの2番目の「中長期戦略計画」を構想、実践していく上で、強く求められます。
他社と同じ「視点」からだけでは、自社の「勝ちパターン」をなかなか見い出せません。
中堅中小企業が勝ちつづけるためには、やらないことを決め、「一点集中・一点突破」で成果を上げ、それを横に広げていくしかありません。
しかし、一点突破のその「一点」は、他社と同じ視点からは見えてこないのです。
そこで、「勝ちパターン」や「一点突破のその「一点」」を見い出すための「視点」の持ち方のコツをご紹介したいと思います。
1つ目のコツは、「逆さ地図の視点」です。
地図(業界)はついつい自国(自社)を中心に見てしまいがちです。
しかし、地図(業界)の向きを柔軟に変え、世界(業界全体)を眺める習慣をつけることで、世界(業界全体)の本質の姿を見ることができます。
相手国(顧客あるいは競合)を中心にして、地図(業界全体)を見てみるという視点です。
例えば、中国を中心にして、南北を逆さにした地図を見ると、中国が日本列島や島々に、防壁のように取り囲まれていることがよく分かります。
何とか出口を探そうとする中国の戦略がよく理解でき、尖閣諸島の問題などの本質を掴むことができます。 皆さんも一度、世界地図を逆さにして見てください。
中国の主張の意味合いを明確に実感できると思います。 詳細は、『「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質』(松本利秋著、SB新書)をご覧ください。
もう1つは、「一歩引いて深く見抜く視点」です。
これは、先日、ある経営者から伺った考え方です。
自社の「勝ちパターン」を見い出すためには、「一歩引いて、業界全体の経営活動の奥底に流れている根本的なルールやメカニズムを把握する」ことが肝要ということです。
競争に勝てる「中長期戦略計画」を練り上げる際の環境分析において、特に重要な視点です。
孫子の兵法の「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」は、「敵を知り」=外部環境分析、「己を知らば」=内部環境分析と置き換えることができます。
しかし、「一歩引いて深く見抜く視点」がない環境分析、戦略計画では、たとえ、一見立派に見える計画が作れたとしても、おそらく、競争に勝てる確率はあまり高くはないでしょう。
一流の経営者は常に、3つの目で業界全体を見ていると思います。
(1)鳥の目は、マクロに業界全体を俯瞰する目。
(2)虫の目は、ミクロに経営の現場を深く観察する目。
(3)魚の目は、マーケットの流れ・変化を見極め、変曲点を見い出す目。
この「一歩引いて見抜く視点」は、この3つの目を複合した視点と考えられます。
一流の経営者が強く意識している「CEOアジェンダ(経営者の仕事)」を果たすために、常日頃より、「CEOの独自の視点」を持ち、それを習慣化することをお奨めします。
アタックスでは、このような自社の「勝ちパターン」を見つけ出した様々な中堅中小企業経営者に出会える場『アタックス社長塾』を開催中です。
2016年度は、東京会場は5月、名古屋会場は8月よりスタートします。
ご希望の方には資料をお送りしますので、お気軽にご請求ください。
筆者紹介
- アタックスグループ アタックス社長塾 主席コンサルタント 西公通
- 1992年 一橋大学卒。IBMビジネスコンサルティングサービス、国内外戦略系コンサルティング会社にて成長戦略、企業変革、新規事業開発支援、博報堂ブランドコンサルティングにてブランド戦略に従事。アタックス参画後は、中堅中小企業の経営サイクル改善、事業利益モデル改革支援業務の他、現在は、アタックス社長塾プロデューサーとして活躍中。
- 西公通の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。