最近、広東省・江蘇省を中心に税関や税務署による調査が多くなっています。
中国政府は、景気刺激のために様々な減税政策(*)を打ち出していますが、この財政負担を補うための課税強化とも考えられます。
*増値税全面移行による減税、1.6リットル以下の自動車取得税の減税など。
また、「通関単」のフォームが変更になりました。
通関単は輸出入の際に、中国企業が税関に提出する書類ですが、様々な情報を通関単にまとめて記載することになりました。
例えば、親子間取引における価格の決め方など細かく記載することになりました。
これにより、税関はクロスボーター取引の情報を多く収集整理することができるようになりましたので、今後、税関調査が厳しくなることが予想されます。
現在は、大企業に対する調査が多く行われていますが、中堅中小企業に対しても調査が強化される可能性もあります。
下記に税関調査リスク事例を列記しますので、参考にしてください。
- 届出せずに保税原材料を中国国内で外注加工している。
- HSコードが間違っていて低い税率で輸入している。
- 部品輸入とロイヤリティー支払いに関連性があるが、ロイヤルティーの輸入関税を納付していない。
- 通関関連資料が保存されていない。
通関業務は、通関士や代行会社などに「丸投げ」しているケースもありますが、彼らのミスで会社が追加納税することもありますので、彼らの仕事ぶりを定期的にチェックされることをお勧めします。
なお、税関調査が及ぼす悪影響は主に以下の3点です。
- 罰金などの金銭面の影響
- 輸出入が滞ることによる現業面の影響
- 最悪は刑事責任を問われること
税関や税務の調査対応は、当局の要求に応じて多くの資料を作成し、合理的な説明をつけて素早く提出しなければならないなど大変な労力を必要とします。
顧問税理士などの専門家からアドバイスを受けるなどして、きちんと対応できる体制を構築されることをお勧めします。
アタックスグループでは、中国子会社の税務や経営の問題を解決します。
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筆者紹介
- 株式会社アタックス 海外サポート室 室長 諸戸 和晃
- 大手住宅会社勤務を経てアタックス入社。株式公開、企業再生、M&A支援等のコンサルティング業務に従事。2011年より2年間北京赴任。赴任中は北京中央財経大学への留学、中国系会計事務所「中税咨询集团」(北京)で業務。帰国後、海外サポート室の室長として、中堅中小企業の海外進出に関する支援業務に注力している。
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