昨年、安倍内閣が「働き方改革」を掲げて以来、世間ではこの言葉が強く意識されるようになってきています。 ご承知のように、この政策は、長時間労働・恒常的な残業などが、日本経済の生産性の低さの原因になっていると捉え、働き方を根本的に変えようというものです。 今回は、仕事の生産性を語る上でよくテーマになる、会議の進め方についてお話ししたいと思います。
皆さんの会社の会議はどんな様子でしょうか?
「終了時間を過ぎてもなかなか終わらない」
「偉い人ばかり話をして話し合いになっていない」
「そもそも何のために開いた会議なのかわからない」
こうしたことがなければいいのですが、もし上に述べたような状況があるなら、生産的な会議とは言い難いですね。
生産的=効率的・効果的な会議にするためには、大きく次の2つの点に留意する必要があります。
1.事前に会議を適切に設計する。
2.開始後、効率的・効果的な議論になるように進行する。
それぞれの項目について、やるべきこと、留意すべきことがたくさんありますが、ここではポイントをかいつまんでご説明します。
1.の会議の設計については、
(1) 会議の目的を明確にする
(2) その目的に応じた参加者を決める
(3) 起こりうることを想定しながら進め方を決める
といったことを行います。
(1)会議の目的には、物事を決定する、多くのアイデアを出す、会社の方針を示達する、などがあります。ところが、意外にこの目的が曖昧だったり、参加者がきちんとわかっていなかったりということが多いようです。まず、会議のゴールイメージを明示することが効率的な会議には必要です。
(2)については、とかく幅広く関係者を集める会議が多いのではないでしょうか。会議に参加させて当事者意識を持たせようという意図があるのかも知れませんが、問題意識の薄い人が参加しても当事者意識はなかなか持てません。議事内容の共有だけなら議事録を回覧すれば事足りるでしょう。会議の参加者は、会議の目的に必要な人だけに絞りましょう。
(3)は、例えば、話が長く話しそうな人がいるなら、会議の冒頭に1人の発言は5分以内にしましょう、とルールを決めるのも一手です。また、参加者が多くて意見が出にくそうなら、まず近くの人3~4人で意見交換してもらい、その後にその内容を発表してもらう、といった工夫をするのもよいでしょう。
会議の目的が達せられるように、予め予想される事態に手を打っておくことが大切です。
一方、2.の会議の進行については、主なものとして、
(1) 参加者の発言を引き出す
(2) 会議のゴールを模索する
(3) 成果をまとめる
といったことがあげられます。これらは主に進行役が担うものです。
(1)は、論点を外さないように気をつけながら、参加者に発言を促していきます。会議では発想を豊かに広げて様々な意見を出してもらうことが大事です。そのために、進行役は、質問形式で、参加者に発言を促していきます。
(2)は、進行役が会議の展開に合わせて会議の着地点を設定し直していくものです。会議は当初想定した通りに進むことはまずありませんが、参加者の思い思いの発言を放置しておくと、時間は長くなりますし、何の成果も得られない、といったことになりかねません。
例えば、当初は結論を出すことをゴールにしていたが議論する内に判断材料が揃っていないことがわかってきたので、次回までの調査事項を決めることを今日のゴールにする、など、状況に応じて会議の成果をコントロールすることが大切です。これを意識すると、会議の終了時間も守ることができます。
(3)の成果をまとめることも重要です。進行役は、会議の終了時間が近づいてきたら、今日の会議で決まったこと、そして、次回までに誰が、何を、いつまでにするのか、など、宿題の整理をします。
会議は最終的に組織としてのアクションに繋がらないと意味がありませんので、何回か会議を重ねる中でも、次までのアクションを決めることはとても大切です。
この会議の進行役を、一般的には「ファシリテータ」と呼んでいます。効率的・効果的な会議を実現するために、ファシリテータの役割はとても大切です。
日本話し方センターでは、話し方教室を運営するほか、生産的な会議に欠かせないファシリテーションスキルの企業内研修も承っております。ご興味のある方は是非日本話し方センターまでお問い合わせください。
筆者紹介
- 株式会社アタックス 執行役員 グループサポート本部 本部長
株式会社日本話し方センター 代表取締役社長 中小企業診断士
横田 章剛 - 1983年 神戸大学卒。メガバンクで、国内・海外の勘定系システムの開発、ガバナンス業務、銀行決算・銀行税務の取り纏めなどに従事。2007年 アタックスに入社し、グループ全体の経営企画、総務、経理、法務等の間接部門を統括。