2度目の登板となる安倍晋三自民党政権が誕生したのは平成24年12月でした。今年で4年目を迎えます。
安倍政権が経済再生の為の柱として打ち出したのが、
3本の矢
(1)大胆な金融政策
(2)機動的な財政政策
(3)民間投資を喚起する成長戦略
でした。
安倍政権復活前の民主党政権時代と比べると円安・株高に推移し、経済は間違いなく回復過程にあるといって良いのではないでしょうか。
このような経済状況にあって問題は、大企業が高業績であるのに比べて、中小企業が依然として厳しい状況に置かれているということでしょう。
安倍政権は昨年9月に、
新3本の矢
(1)名目GDP600兆円
(2)希望出生率1.8
(3)介護離職ゼロ
を打ち出していますが、根本はデフレを脱却し経済を安定成長軌道に乗せるマクロ政策(金融、財政、税制…)です。
「成長なくして再生なし」ということです。
マクロ的な経済情勢は以上であり安倍政権の日本経済再生シナリオにおおいに期待したいと思いますが、中小企業経営者は他人頼みでは自社の経営が持ちません。
やはり自助努力しかありません。
昨年フィリピンへ進出した中小企業の若手後継社長からこんな話を聞きました。
「国内では売上は伸びない、縮小傾向なので海外進出を色々と検討した末、フィリピンに進出した。いきなり国内と同じ仕事はできないので、比較的簡単な自動車整備関係の仕事から始めた。そこで気付かされたのは人材の格差です。ローカル人材を日本人と同じとみるのは甘いと感じた。教えたことを中々やってもらえない、現地へ出ることで日本の教育の素晴らしさと日本人の優秀さを実感した。」と語っていました。
以上の様な話は中小企業の海外進出に留まる話ではありません。
大企業でもローカル人材を採用して生産を始める時に常に問題となっています。
つまり日本人に教育するのと同じようにはいかなのです。
やはり平均的に考えると間違いなく日本人は優秀です。
ところで少子高齢化、生産年齢人口の減少(したがって内需も減少)という長期トレンドの中で、中小企業経営者は経営の舵取りがますます難しくなっています。
人、物、金、情報が経営資源といわれますが、圧倒的に人が大事な時代です。
人がいて始めて物、金、情報を経営資源として活かすことが出来ます。
経営者は人が最高の経営資源であると再認識し、自社の経営を改めて見直し、10年先のビジョン・戦略を打ち出すべきでしょう。
その中で自社の欲しい人材が集まり、成長でき、定着する仕組みと組織を考えるべきです。
筆者は社員にとって「魅力のある会社」「働きがいのある会社」の条件は次の3つであると考えています。
(1)尊敬・信頼できる社長(幹部社員)の存在
(2)お客様から提供価値(お役立ち)を認めてもらえる誇りの持てる仕事
(3)社員同士が信頼の絆で結ばれた連帯感(チームワーク)のある職場
日本は長期人口減少トレンドから抜け出すのは困難であり、働き手がどんどん減っていきます。
ダイバーシティの観点に立ち、女性、高齢者、外国人を含め、社員全員が気持ちよく働く、社員を大切にする「社員第一主義」の会社づくりを本年の経営課題とされてはと考えます。
アタックスグループでは「人が輝き会社が変わる」という思いで、人事制度改革支援、組織活性化支援など行っています。
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筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
- 数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
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