新年明けましておめでとうございます。
昨年10月に二人の若手企業家、freee株式会社の社長 佐々木大輔氏と株式会社ユーザベースの社長 梅田優祐氏と話しをする機会がありました。 佐々木氏が手掛けている事業はAI(人口知能)を利用したクラウド会計サービスです。
大学卒業後就職した上場企業を退職し、一時期ベンチャー企業の財務担当役員(CFO)をしていましたが、経理は素人で大変苦労されたそうです。
佐々木氏はその後勤めていたベンチャー企業をやめグーグルで働いた後、CFO時代に苦労した会計業務をAI、クラウドで誰でも簡単に処理できるサービスを事業として起業しました。
今では佐々木氏の事業は銀行との提携(入出金データの自動交換)も進み、60万社が利用中で急成長を遂げています。
他方、ユーザベースの梅田氏が始めた事業は法人向け経済・金融情報サービスです。 梅田氏は大学卒業後、戦略系コンサルティングファーム、その後転職したUBS証券でコンサルタントとして働いている時、分析レポートの情報収集に多くの時間がとられ苦労しました。
梅田氏はUBS証券の同僚と二人で自分自身が困っていた情報を収集するサービスをウェブ上で提供すれば、事業会社、金融機関、証券会社、コンサルティングファームなどで仕事をする人の役に立つと考え起業に踏み切りました。
起業後の道は決して平坦ではありませんでしたが、昨年10月東証マザーズに上場しました。
ところで「マネージメントを発明した偉大な人物」P・ドラッカーは「事業の目的について正しい定義は一つしかない。それは顧客を創造することである」
そして「顧客を創造する為に、いかなる事業も二つの基本的機能・マーケティングとイノベーションを持つ」
と言っています。
マーケティングは現在及び将来の顧客が要求するものは何かを探り出す事業上の重要な活動で、今ある商品・サービスを効率よく販売するセールス活動と比べると、より重要な事業全体に関わる戦略的な活動です。
ドラッカーは新製品あるいは新サービスの開発のスタートラインはマーケティングであると断言しています。
筆者はマーケティング活動は社会的、経済的に考え、顕在または潜在する問題を探り、解決策を見つけ出す行為であると考えています。世の中に存在(顕在・潜在とも)する「不」つまり不便・不満・不安の解消になることを提供できる商品やサービスを考え出すことです。
このプロセスにおいて
(1) 顧客は誰で
(2) 顧客が認める価値は何で
(3) どの程度の値段を喜び
(4) いつ、どこで、どの様な方法でそれを求めているのか
を考えることがとても重要です。
一方、イノベーションはより良く、より経済的に商品やサービスを提供する方法を考え出すことです。
イノベーションが「経済発展の原動力である」と言ったのは経済学者J・シュンペーターです。
シュンペーターはイノベーションを
(1) 新商品の導入
(2) 新しい技術・生産方法の導入
(3) 新市場の開拓
(4) 新原料の導入
(5) 新しい経営組織の実現
と定義しました。
2人の若い企業家の起業の動機は、自らが仕事をした時に感じていた「不」つまり不便の解消・解決策の提案でした。
つまり自分達はこんなことに困っている、この様なサービスが世の中にあれば多くの困っている人々の「お役立」ができるのではないかと考えたのです。
宅急便市場を創り出したクロネコヤマトの創業者小倉昌男氏も同じ発想でした。
そして佐々木氏、梅田氏とともにインターネット、クラウド、PC、スマートフォンという新しい技術・インフラを積極的に取り入れています。
経済のグルーバル化、インターネットの普及、少子高齢化、地球環境保護といった時代の潮流を好機と捉え事業変革のビジョンを示し、顧客創造の為のマーケティングとイノベーション活動のリーダーシップをとることは経営者の最も重要な役割の一つです。
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筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
- 数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
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