待ったなし!「働き方改革」~中堅・中小企業がとるべき有効策とは?

経営

総務省によれば、日本の就業者数は2013年から4年連続で増加しており2016年では6500万人弱と2000年頃の水準にまで回復しているそうです。 日本国内では人口減・少子高齢化が続き生産年齢人口自体は減少しているのですが、ここ最近の高齢者や女性の就業者増加による就業率の改善および完全失業率の低下が、就業者数増加につながっています。 このことから、日本全体では就業環境は改善傾向にあるといえるのですが、残念ながら中堅・中小企業にとっては、まだまだ就業環境は改善されているとは言い難いものがあります。

2017年の中小企業白書では、日本の雇用には職種職業や産業、事業所規模といった視点でミスマッチが発生しており、中堅・中小企業の就業環境は改善されていないと指摘しています。 特に事業所規模のミスマッチにおいて、29名以下の事業所の新規求人数は2016年度で700万人超(2009年は300万人)と急拡大する中で、就業者数は1520万人とここ20年間で200万人以上減少しており大きなミスマッチが発生しています。 つまり一番人を必要としている企業規模に人が就業していないのが現状です。

このように人手不足が深刻な中堅・中小企業にとって、就業環境を改善するためにどのような取組みを行うべきなのでしょうか? 2017年の中小企業白書には、興味深い情報が提供されています。それは、人材確保・定着が成功した企業とそうでない企業において、社内取組にどのような差があるのかという分析です。

その分析結果によれば、人材確保・定着の有効策として「能力や適性に応じた昇給・昇進」が取組みの一番にあげられているのですが、意外なことに人材確保・定着に成功しなかった企業の方がより有効だと回答しています。(人材確保成功企業33.0%、人材確保不成功企業37.2%)

逆に、人材確保・定着に成功した企業の取組みで成功した企業が、有効と回答しているのは、「職場環境・人間関係の配慮」でした。(人材確保成功企業28.7%、人材確保不成功企業21.5%)」

先日、ある経営者の方が「寡黙だったある社員が最近明るく元気に挨拶をしてくれるようになった。それが一番うれしいんだよ」と話しておられました。 この企業では経営者や管理職の皆さんが人を大切に考えており、従業員の方への配慮や声掛け等をごく自然にされています。その結果、従業員の方々が活き活きと働いていることが、我々のような外部のものにも自然に伝わってくるのです。

「職場環境や人間関係の配慮」は、どの企業においても働くみなさんが意識をすることで改善ができ、その企業独自の企業文化につながる取組みでもあります。 この視点による「働き方改革」に取組むことが中堅・中小企業にとって人材確保定着の有効な改善策になるのではないでしょうか。

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筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士 池ヶ谷 穣次
1993年 静岡県立大学卒。MBA。中堅中小企業の経営管理制度・管理会計制度構築サポート、事業再生サポート、財務・事業デューデリジェンス業務、M&Aサポート、株式公開支援、月次決算支援業務等に従事。システムエンジニア時代に得たシステム思考を応用し、経営者・経理責任者の参謀役として活躍中。
池ヶ谷穣次の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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