ふと気づけば、立ち寄ったコンビニやファストフード、居酒屋の店員さんがほとんど外国人だったということが多くなりました。数年前は中国系の方だけが目立ちましたが、最近は東南アジアやアフリカ系の店員さんも珍しくありません。 「かざすクーポンを使います」「支払はSuicaで」とレジでリクエストしても、難なく聞き分けて対応してくれます。
私達の現在の生活の多くは、すでに、多くの外国人留学生や実習生の方々が、今の日本に不足している労働力を提供してくれるからこそ成り立っているんだと実感させられます。 人手不足は、外国人のアルバイト問題に限った話ではありません。ヤマト運輸、ロイヤルホスト、イオン、セブンイレブンなど、労働力不足や人材確保に手を打つ企業の話題が日々ニュースのヘッドラインを飾っています。
人手不足が業容の縮小に直結する問題であることも肌身で感じられるようになってきました。 これまで企業の採用活動は、求職活動を行っている人材の中から
「良い人だけを、必要な人数採用したい」
「採用の勝率、効率を上げたい」
ということが大きなテーマであったと思います。
しかし人材不足が顕在化し始めた数年前から「ダイレクト・リクルーティング」「ダイレクト・ソーシング」などと呼ばれる取り組みが活発化しています。 これまでの「待ち」で「アウトソーシング頼み」の採用活動に留まらず、求職活動を行っていない潜在層にまで進んでアプローチして、採用の母集団を企業自らが創り出そうという取り組みです。
具体的には、働く人に選ばれるために採用や育成にもマーケティングの発想を取り入れ、人材が真に求めるニーズを究明します。そして、人材価値を生み出すための経営の哲学や戦略、仕組み、プロセスを整えます。 このような努力を積み重ねなければ早晩、
「良い人材に当社は認知して貰えない」
「見向きすらされない」
「採用できても育てられない」
「育ってくれても途中で辞めてしまう」
など負の循環に陥っていくことでしょう。
今一度創業期には明瞭だった経営者の情熱や理念、ビジョン、経営の仕組みを磨き上げながら顧客や働く人たちに積極的に発信していく。大企業に比べブランド力に劣る中堅中小企業だからこそこのような取り組みが必要なのだと思います。
先日、ある優良企業を見学させて頂く機会がありました。社員100名弱の会社ですが、採用募集への応募者は毎年数百名にのぼるそうです。 消費者の経験価値や顧客価値を高めることが人材を評価する軸として社内で広く共有され、これが高じてごく自然に顧客や協力会社にも伝播していっている。そんな印象を受ける会社でした。
これからは、この会社のように顧客に選ばれ、働く人にも選ばれる会社だけが持続的に成長していくことになるでしょう。 人材の採用や育成の根幹は、人事担当者や社外のエージェントに任せきりにせず、経営の重要テーマとして、経営者自らが率先して取り組むことにあるのです。
アタックスグループは中堅中小企業の人材育成や組織活性化のお手伝いをいたします。【アタックスの人財創造・活性化支援】
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 廣瀬 明
- 1968年生まれ。企業再生、財務・事業デューデリジェンス業務、M&A、株式公開のサポート等に従事。中堅中小企業への豊富な支援業務を通じて培った知識と経験を活かし、現在大阪事務所のプロジェクトマネージャーとして活躍中。
- 廣瀬明の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。