日本電産の“脱モーレツ主義”に学ぶ

日本電産の働き方革命 経営

先日(10月25日)、日経新聞に「日本電産、逆張りの効率化」という記事が載りました。円高の逆風でも2017年3月期の連結純利益が1000億円の大台にのりそうだと。

その記事の中で注目したのは、「モーレツはウチ(日本電産)にはない。」という永守会長の言葉です。

もともと、永守さんはモーレツに働く方だったはずです。しかし「時代が違う」と働き方改革を打ち出し、全社員の意識を変え残業ゼロを目指すと宣言されたのです。

永守さんと言えば、コスト削減でも単なる削減ではなく、一からやり方を改革して根本的にコスト構造を変える発想を追求する、または6Sを徹底して、より正しい仕事のやり方を追求するなど、何事も妥協を許さぬ徹底的な取り組みを進める経営者として尊敬している方です。

最近では、「キャッシュ化速度」の指標を取り入れ現場の改革に取り組み、実質無借金になったという記事も出ていました。キャッシュ化速度とは、仕入れてから回収までの期間を捉えた指標で、これを短縮する取り組みです。

これを実現するには、単に売上債権の回収サイトを短縮するというだけではなく、ビジネスフローを見直し、現場のやり方を根本的に変える!という意識改革をセットにしないと(永守さんが)目指した目標に到達する改革にはならないでしょう。

材料を仕入れてから製品にするまでの工程期間の短縮や調達・製造・販売の綿密な連携による在庫削減など、全社全部門にひとつの目標を達成するまで考えさせ、行動させるのが永守流と言えます。

今回の、働き方改革は、業務の生産性を落とさず残業を減らす取り組みだそうです。現場で働く方々は、「早く帰れ」と言われるので、どう仕事の効率を上げるか必死で考えるようになったといいます。

つまり、どう効率を上げるかが働き方改革であり、その結果が収益貢献という成果を生むのです。 「そうはいっても」とか「言われることはわかるけど、やれないことはやれない」などと言う文化は日本電産にはないようですね。

学ぶべきは、日本電産の取り組み(コスト削減、キャッシュ化速度、そして残業ゼロ等)すべてが、「今までのやり方を変える」という発想で徹底してやり続ける、という「組織風土」であり、このリーダーシップが逆境でも成長する企業を作り上げたのです。

労働時間に関しては、味の素も同様に2020年に7時間労働制を導入するといいます。残業ゼロの取り組みも労働時間を短縮する点では同じで、この根底にあるのが「人財確保」という経営資源のなかで最も重要な資源へのアプローチに他なりません。

ただでさえ、優秀な人財が採りにくい中堅中小企業では、人財への考え方を真剣に経営者は検討するべきだと考えます。「教育(育成)・投資・制度」の多方面から「働く社員にとって魅力のある企業」に如何にしてなるかを。

それが、結果として業績向上と後継者の育成につながり、永続企業になる早道になると強く信じています。

アタックスでは、全社員に会社の理念やビジョンを浸透させ、具体的な行動目標を盛り込んだ中期経営計画を推進することで、何をすべきか自ら考え行動できる人財を育てるご支援を行っています。ぜひ【アタックス「中期経営計画」策定・推進支援】のページをご覧ください。

筆者紹介

株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡 正輝
1952年生まれ。アタックス税理士法人の前身である公認会計士今井冨夫事務所に入社。現在は、アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に計画経営の推進、経営再構築、事業承継等のコンサルティング業務に従事、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。
片岡正輝の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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