景気超越型企業の経営戦略

成功企業の経営戦略 経営

筆者は現在名古屋地区にある会員110名のロータリークラブ(RC)の会長を務めています。RCの歴史は古く、1950年シカゴで弁護士のポールハリスと三人の仲間でスタートしました。

現在では世界中に広がり、会員は121万人(日本では9万人)です。
RCの目的の一つに職業奉仕があります、その意味する所はRC会員が自己の職業を通じて広く社会へ奉仕することです。

そこで先月、筆者の属するRCで職業奉仕の一貫として、坂本光司法政大学大学院教授の「景気超越型企業に学ぶ経営戦略」という講演会を開催しました。

教授は中小企業経営研究の第一人者であり、これまで7,500社を超える企業を訪問し、調査研究・アドバイスを行っています。

今回の講演会は職業奉仕目的での開催で他RCでも参加要請した所、220名の参加があり大盛況でした。

以下、当日の教授の講演を要約してみます。

教授は7,500社訪問した企業の内、約10%が景気を超越して事業経営(例えば売上高営業利益率5%以上)していると言います。

これらの企業は業種・業態・規模は種々であり、教授が現地・現物・現実の三現主義で訪問先企業の経営者との対話から直接聞き取り調査した実例を紹介されました。

長野県伊那市の伊那食品工業は寒天のメーカーとしてダントツのナンバー・ワンです。

寒天の原料天草を食品以外(化粧品・医薬品)にも用途を広げ、1985年会社設立以降、一期だけ例外はあるが増収増益です。

社員をリストラすることなく木の年輪の様に年々着実に成長しています。

実質創業者の塚越寛会長は「年輪経営」といっており、トヨタ自動車の豊田章男社長もその経営を学ぶほどの会社です。

栃木県宇都宮市にあるマニーは手術用縫合針が有名ですが、外科・眼科・歯科治療で必要となる機器の研究開発型企業として超優良会社です。

教授の説明では毎年1,000アイテムの新商品が発表されています。
島根県大田市にある、中村ブレイスは社員が75名の中小企業ですが、人工乳房はじめ人体の義肢装具メーカーとして極めてユニークな会社です。

「第2回ものづくり日本大賞」では製品・技術開発部門の特別賞も受けています。

大阪府大阪市にある東海バネ工業は従業員85名のバネメーカーで取引先は1,000社以上、平均受注数1~5個、受注金額数万円という多品種微量生産を得意とする町工場です。

絶対に値引きしないバネ屋として有名で、創業以来70数年一度も赤字を出したことがありません。

教授は以上の様な事例を、景気超越型の景気に左右されない事業として講演の参加者に数多く紹介しています。

経営規模の大きさは関係ない、業種・業態も問わない、ロケーションも無関係(地方で活躍している)であり、各社が値決めの決定権を持っていると語っていました。

そして自社をこの様な会社にしていくことができるのは社員の働きであり、経営者は社員を大切にする会社を目指すことが一番大事であると強く語っていました。

事業の目的は「顧客の創造」です。その為には顧客が誰か、顧客の認める価値は何かを追求するマーケティング活動と、より経済的に価値を提供するためのイノベーション活動が重要であるといったのはP・ドラッカーです。

これらの活動を行うのは社員です。社員を大切にする会社、社員の幸せを第一に考え、全員参加で主体的に社員が幸せになる会社づくりを行うことが、先行き不透明な時代を生き抜く王道の経営です。

経営者の中には
「話としては理解できる。しかし理想と現実はギャップが大きい。我が社では無理だ」と思われるかもしれません。

しかし、筆者はこう考えます。
「現実はギャップが大きい。しかしなんとしても理想の会社を目指して頑張りたい」
という経営者の気持ちこそが大事であると。

アタックスグループでは社員が主体的に経営に参画し「生きがい」と「働きがい」のある会社するための中期経営計画の作成プログラムを提案しています
ご検討頂ければ幸いです。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました