上場準備と働き方改革!~法令遵守で厳しさ増す上場審査

経営

今年もあずさ監査法人が公表した「2018年のIPO動向について」を見ながら、特徴的な部分について話をしたいと思います。

この時期に筆者が取り上げる恒例のテーマとなっていますが、今回は、働き方改革と関連したことも少しお話をさせていただきます。

期越え上場が全体の36%にものぼっている

2018年に新規にIPO(Initial Public Offering = 株式公開)ができた企業数は90社でした。
過去3年間、2015年92社、2016年83社、2017年90社と、90社前後で推移しています。
これを見ると、2019年も同じにように90社程度の新規IPO数が予測されます。

直前期末から実際の株式公開日まで要した期間は、90社の中央値は352日、期越え上場(直前期末から1年を超えて上場が実現する状況)はなんと全体の36%にものぼっています。

これは、上場に対する審査が厳しくなっていることを意味しています。

たとえば、一年前に設定した予算通りに会社が運営されているかどうかを確認するためには、その期の期末近くの実績数字で比較したいということです。

上場は、本当に狭き門になってきた、というのが実感です。

一方、会社設立後上場までに要した日数をみてみると、上場を実現した全体の3分の1が会社設立後10年以内に上場を果たしています。
15年までをカウントすると、過半数を超えます。

会社設立時から上場を視野に入れて、業務管理体制を整備し、その運用を適切に行っていく。
このスピード感と組織の仕組みの構築力が上場には必要だと思います。

今後、ますます難しくなる上場(IPO)

私は、今後、IPO実現はさらに難しくなっていくと思っています。
特に注目しているのは、働き方改革法で規定されている残業時間の総量規制です。

ご存知の通り、IPOをしていくためには、法令遵守は必須です。
法令違反をするような企業は上場できません。

当然、企業はこの働き方改革法をきちんと守らねばなりません。
ということは、残業時間に関するコントロールが非常に重要になります。

事業の成長を加速させるために、どんどん従業員に事業を推進していってもらおうと思っても、ある一定の枠内で終わらせないと、法令違反になってしまいます。
もはや、残業代をたくさん払えばいいという状況にはないということです。

これを回避するために、よく言われているように、
・生産性が上がる仕事のやり方(業務フローを常に見直し、マニュアルを活用する等)をいつも意識して指示を出す
・アウトソーシング等を活用しながら、従業員の総労働時間を下げていく
など、早い段階から企業全体で取り組み、全社員に意識させていくことが重要です。

「がんばれ」という精神論ではなく、具体的にどのように仕事のフローを組み、どこで他社のサポート(いわゆるアウトソーシング)を受けるか、真剣に考えることが必要な時代になってきているのです。

アタックスグループは、業務フローの視える化による業務効率化サポート、仕事に対する意識改革サポート等もIPOサポートともにパッケージでご対応可能です。いつでもこちらのお問合せフォームからご連絡ください。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー
株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役会長
公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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