今年1年の世相を漢字ひと文字で表す「今年の漢字」が、京都の清水寺で発表され、2024年の漢字は、「金」に決まりました。
オリンピックやパラリンピックで盛り上がった反面、物価高、闇バイト、政治家の裏金問題など、「金」にまつわる事柄が多かったことに由来するそうです。
さて、皆さんにとっての、この1年はどのような漢字で表現されるでしょうか?
私にとっての漢字は、「進」です。
その心は、ChatGPTに代表される生成AIの進歩と普及です。
生成AIの進歩と普及
物は試しということで、ChatGPTに「2024年の企業経営において重要な課題は何か?」と尋ねてみたところ、
1. 生成AIの活用と課題
2. ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への対応
3. サプライチェーンの再構築
4. 人的資本経営の強化
5. カーボンニュートラルへの取り組み
上記5つに理由も添えて、なんと数秒で導いてくれました。
なるほどと思い、調子に乗って「生成AIと会社経営というトピックで、企業経営者にメッセージを2000字以内でまとめよ」と聞いてみると、
1. 生成AIの可能性と導入効果
2. 生成AI活用の課題
3. 戦略的導入のポイント
4. 倫理的側面の考慮
5. 経営者へのメッセージ
という切り口で、1700文字強の整った文書を作成してくれました。
時間にしてものの数十秒、驚くばかりです。
ちなみにこの文章は、ChatGPTに頼らず、コンサルタントのプライドにかけて、私の頭でまとめています。(しかし、もう少し時代が進むと、そういう発想が古い、と言われてしまいそうです。)
生成AIがホワイトカラー職に与える影響
ある有名な弁護士先生と忘年会をした時、ちょうどこの生成AIの話になりました。
先生曰く「これからパラリーガルは必要なくなるね。判例は全部、AIが調べてくれる」とのことでした。
アタックスでは、社内の生成AI活用のガイドラインをまとめ、その利用上の注意や活用方法を発表しました。
後日、間接部門のスタッフが、「私の仕事がなくなるかもしれない」と私との日常会話の中でぼそっと呟いていました。
この生成AIの進歩・普及により、特にホワイトカラーと言われる人々の仕事が劇的に変化してくることが簡単に想像できます。
生成AIに仕事を奪われないために
我々は、この時代の変化についていく必要があります。
そのためには、まず自分たちの業務プロセスを再度明確にすることです。
視える化をしたら、次に生成AIができる仕事とできない仕事に分けます。
ここで重要なのは、生成AIができないと安易に決めないことです。
もともと人は、現状維持バイアスが働くため、仕事の現状のやり方を変えたくないと思ってしまうものなのです。
すなわち、AIでは代替できないと思い込みがちなのです。
やるべきことは逆であり、生産性を高めるために、どうしたらAIが活用できるか、業務を組み立てていくことが肝要と考えます。
人がAIに「使われない」ことが重要
一方、AIを活用することが大切であり、人がAIに使われていては意味がありません。
AIが作成した資料の妥当性を判断するのは自分たちです。
AIが間違った情報を集めて作成した資料を利用するわけにはいきません。
最終チェックはやはり人の判断が必要です。
そうした場合、最終チェックができるような人財を育てることも、併せて重要になります。
人財育成の中で、AI活用に頼りすぎて、考えることができない社員を増やしても、企業の成長は見込めません。
AIを活用した生産性向上と人財育成はある一面、トレードオフの関係にあると思います。
そして、AI活用と人材育成のバランスを考えることは、非常に大きな課題であると言えます。
業務フローの改善から人材育成まで、アタックスグループには専門コンサルタントがいます。
AI導入に伴う様々な課題解決もサポートさせていただきます。
筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 林 公一
- 1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
- 林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。