「BYOD」のメリット・デメリット~在宅勤務、テレワークに活用できる

経営

BYODとは

BYOD(「ビーワイオーディー」と読みます)とは、Bring your own deviceの頭文字をとった言葉で、社員が個人で所有するデバイス(パソコンやタブレットなど)を、所属組織(会社や行政機関など)の業務に使用することを指します。

私用のスマートフォンで会社のメールや予定表を扱えるようにすることが、一般的なイメージです。過去、会社のメールアドレスで受信したメールを個人の携帯電話に自動転送させる方がいらっしゃいましたが、BYODの走りだと言えるでしょう。

少し前なら、私用のデバイスを業務で使用することは、情報漏洩につながるリスクを考慮して認めない会社が大半でした。

しかし、最近では業務においてもスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を使用することが増えてきたため、私用デバイスで業務を行うことを認める会社も増えてきています。

そこで今回は、BYODのメリット・デメリットや考慮せねばならないことなどについて考えてみます。

メリット・デメリット

BYODのメリット・デメリットは、当事者別の視点で考えると分かりやすくなります。主なものは以下の通りです。

個人側

メリット ・デバイスについて使い勝手やデザインなどを個人の好みで選択できる
・最新の機能を個人都合で導入できる(会社機器の更新タイミングに合わせる必要がない。会社支給ではあまり目にしないipadのアップルペンを利用する等。)
・会社パソコンの持ち運びを減らすことができる(オフィスでは会社パソコン、在宅勤務では私用パソコンといった使い分けが容易になる)
デメリット ・購入費用やランニングコストがかかる
・仕事とプライベートの切り替えが難しくなる(会社パソコンとプライベートパソコン両方で仕事をすることになるため)
・デバイスの数だけセッティングや管理の手間がかかる
・会社支給のデバイスと互換性のない機能で仕事をすると、手直し、手戻りが発生することがある

会社側

メリット ・在宅勤務やテレワークを推進しやすくなる(デスクトップパソコン中心の企業ではノートパソコンへの買い替えを待たずとも対応が可能。
・コスト削減効果が期待できる
・上手に使えば生産性を向上させることができる
デメリット ・個人使用デバイスからの情報漏洩リスクが発生する
・個人使用デバイスのセキュリティ対策コストが発生する
・労働時間の追跡が難しくなる(様々なデバイスで仕事をするため)
・社員が退職する時の機密漏洩リスクが高まる

文書を作成する場合、会社パソコンでワードを立ち上げ、個人所有のipadを情報検索や資料表示などのセカンドモニターとして活用することもできるようになります。

パソコン作業は、モニター1台だけの場合と、複数モニターの場合では、圧倒的に後者の生産性が高く、一度、複数モニターを体験したら、元には戻れないと感じるほどです。ペーパーレス化にも効果があると言えるでしょう。

もちろん、情報漏洩リスクが上昇することには注意が必要です。BYODを許可すると、会社は管理すべきものが単純に増え、セキュリティ対応は必須となります。

今後検討すべきこと

新型コロナの影響により、在宅勤務やテレワークをしっかりとした準備もなく導入せざるを得なかった会社も多いと思います。もし、今後、規程等を整備される際は、ぜひ、BYODの視点も入れて、在宅勤務・テレワークのあり方を検討して頂きたいと思います。

例えば、製造業や接客業の方々など、そもそも会社が一人一台のパソコンを支給することに経済合理性のない業界もあります。そのような業界の方については、BYODを活用して、個人でお持ちのパソコンやタブレットからwebセミナーや研修に参加頂くことも容易になります。

また、規程等の会社ルールが無い状態で、社員個人で勝手にBYODしている場合もあるようです。こうした場合、情報漏洩リスクは軽視できないので、しっかりとした対策が必要です。

インターネットを検索すれば、BYODの規定ひな形を手に入れることもできます。しっかりとメリット・デメリットを考慮しながら、自社なりのBYODを議論頂きたいと思います。

筆者紹介

株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 取締役 永田 健二
1999年 静岡大学卒。中期経営計画策定支援、組織風土分析支援、人事制度構築支援、人事制度運用支援などに従事。新入社員研修、中堅社員研修、管理者研修、各種個別研修など研修講師としても活躍中。
永田健二の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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