4月になり、暖かくそして桜の花が咲きそろう季節になりました。一方で、世界の環境はそのような光景とはかけ離れた大変な事態になっており、全く先の予想がつかない状況になっています。
しかし、例え一企業ではどうにもならない事態がおこっても、会社は存続し続けねばなりません。そのために経営者や社員の皆さまは売上を作り利益を出すことに最大限の努力をしておられることと思います。
競争優位性として「エンゲージメント」を考える
企業が売上を作り利益を出し成長していくには、その会社が持つ強みが必要です。
製品(商品)力、営業力、開発力、顧客対応力等他社よりも優れた優位性が原動力になることは誰でも理解していることです。
今回は、その優位性について「エンゲージメント」を考えてみます。
エンゲージメントとは「組織への愛着」です。最近では、エンゲージメントが会社の経営に良い効果をもたらすことが注目されています。
「3つの幸福」とは?
まず、エンゲージメントを高めることを考える前に、私が読んだ本をご紹介します。
樺沢紫苑氏が書かれた「3つの幸福」という本です。
樺沢氏は精神科医で多くの患者さんを診てきて「幸福」とは何か?を考え、幸せになる方法をこの本にまとめられました。
日本は幸福度ランキングが低く、先進国では最低です。
世界でGDPは3位、教育制度は整い、治安も良く、自由な環境の日本人がなぜ幸せを感じないのか?それを解決したいという思いから書かれたのだと思います。
「3つの幸福」を説明すると、△(さんかく)の三段重をイメージしてください。
心と体の健康
1番下の基礎の部分が「心と体の健康」です。
確かに、健康でないとすべてが不幸になります。ただ、問題は、健康はあたりまえで、幸せだと感じない点です。病気になったりすると健康の有難味がわかる、といったように、普段は健康であっても幸せを感じないのです。
つながり・愛
2番目は「つながり・愛」です。
家族・友人・職場・地域などの人間関係、コミュニティへの所属の幸せです。これも確かに重要なファクターですが、人間関係が複雑になるにつけ、逆に不幸を感じる事態にもなりえます。
成功・お金
最後の、最上段の3番目は「成功・お金」です。
これはわかりやすいですね。事業で成功を収める、地位があがる、給料があがる、宝くじが当たるなど、一番わかりやすく幸せを感じるまさに頂点といえます。
しかし、このドーパミン的な幸せは大きな問題があります。もっともっと欲しいとなり、課長に昇進したら次は部長、給料は更にアップしたいなど、次を求めることになりそれが叶わないと不幸(不満)を感じてしまうのです。
「エンゲージメント」と「3つの幸福」
さて、そろそろ纏めに入りたいと思います。エンゲージメントと3つの幸福の話を踏まえて、皆さまの会社で取り組んで頂きたいことがあります。
まず、幸福の基礎である心と体の健康について、社員の皆さまには健康には十分気を使って頂きたいと思います。心と体の健康が全てのスタートになります。
その上で、会社というコミュニティの中で2番目の幸せである「つながり・愛」に着目して頂きたいと思います。
人は、組織の中で存在感を感じること、つまり、
- 自分は必要とされている
- 人(会社)の役に立っている
- 感謝される⇔感謝する
が喜びになると言われています。
会社の組織の中で、社員の皆さんがそのように感じられる組織風土を作り上げることが社員の幸せになり、結果としてエンゲージメントを高めることに繋がるのです。
更に、この喜びは、仕事のやりがいや達成感、そして成長を実感できると、ドーパミン的な幸福、つまり一番わかりやすい「成功・お金」の幸せにも繋がっていきます。
回りくどいお話になってしまいましたが、昨今のように先が全く不透明な時代にこそ、社員が会社という組織に愛着を持ち、社員同士そして顧客との絆が深まれば、貴社の大きな会社の力(競争力)になると考えます。
社長のリーダーシップと社員の行動力によってこの困難な時代を乗り切っていただくことを願っています。
筆者紹介
- 株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡 正輝
- 1952年生まれ。アタックス税理士法人の前身である公認会計士今井冨夫事務所に入社。現在は、アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に計画経営の推進、経営再構築、事業承継等のコンサルティング業務に従事、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。
- 片岡正輝の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。