コロナ禍における働き方改革
今年は、新型コロナで始まり、新型コロナで終わる一年でした。
このような中、2020年4月からすべての企業に働き方関連法が適用になりました。
復習を兼ねてまとめますと、「働き方改革」とは以下の3つです。
年次有給休暇の時季指定
労働基準法が改正され、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。
同一労働同一賃金
正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差が禁止されます。
時間外労働の上限規制
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
この3つで特に重要なのは、この「時間外労働の上限規制」です。
一人当たりの働く時間に上限が設定されるということは、最終的には会社全体の総労働時間に上限をかけられることになります。
企業にとって最も重要な労働力という経営資源に制約がかけられることを意味します。
この規制の元で、利益を生み出していくためには、1時間あたりの労働生産性を上げることが必須となります。
多くの企業が、そのための抜本的な業務フローの見直しや、IT化、更には、事業戦略の再検討を考えていたはずです。
そんなときに発生したのが新型コロナ災禍です。
働き方関連法への対応だけでも大仕事なのに、準備もそこそこに、いきなりの在宅勤務へとシフト。
これでは、企業はたまったものではありません。
とはいえ、社員の健康を考えれば、在宅勤務対応はマストであり、環境整備が十分でないまま導入に踏み切った企業も多かったのではないかと思います。
世代間格差と価値観の多様化
在宅勤務に加えて、社員間の世代間格差が広がり、価値観も多様化してきています。
例えば、ミレニアル世代。
1980年代前半に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代です。
このミレニアル世代は、2000年代に登場した検索エンジンをはじめ、モバイルコネクティビティ、インスタントメッセージングを実感してきたデジタルパイオニアとも言える存在です。
一方、2000年代前半に生まれたいわゆるZ世代は、生粋のデジタルネイティブ世代です。
彼らが育った環境は、高速インターネット、スマートフォン、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、さまざまなゲーム機器、そしてSNSなど、デジタルの存在が当たり前です。
「24時間戦えますか」で育った昭和世代とは価値観も行動様式も変わります。
経済環境も人の価値観もどんどん変化していく、そんな中で社長は意思決定をしていかねばなりません。
この複雑な環境を乗り切っていくには、社長一人で考えるのでなく、チームとして多様な価値観を織り交ぜながら、戦略を設定し実施することが環境適応の第一歩だと思います。
そしてそのためには、多様化する価値観をまとめる手法なり意識が重要になります。
今こそ組織マネジメントの在り方を考えるべき!
グーグルのプロジェクト・アリストテレスが導き出した「心理的安全性」という概念があります。
ハイパフォーマーが集まる組織のメンバーにはこの心理的安全性が定着しており、時間当たりの生産性が向上するというものです。
この発想は、労働時間の総量規制がかかっている会社の問題解決になるはずです。
中堅中小企業も生産性向上のため、徹底的に組織マネジメントの在り方を研究すべきです。
各社の組織風土は異なりますので、一律同じ手法が適用できるとは限りません。
一方で、多様な価値観が社内に混在しているのも事実です。
アタックスでは、これからの時代の組織マネジメントの在り方を提案しています。
ご興味ありましたら、お気軽にお問い合わせください。
また、来年1月からのアタックス・ビジネス・セミナーは全講座オンライン化でスタートします。
組織マネジメントのあり方も取り上げています。是非とも新年以降の社員教育にご活用ください。
筆者紹介
- アタックスグループ 代表パートナー
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役会長
- 公認会計士・税理士 林 公一
- 1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
- 林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。