稲盛和夫氏の教え~“経営の神様”を信じた男!

経営

稲盛氏の琴線に触れた松下幸之助氏の一言

昨年8月、稲盛和夫氏が90年の生涯を閉じました。

稲盛氏が若い頃、松下幸之助氏の「ダム経営」の講演を聞いた時の話です。

講演が終了したときに、参加者の一人が「ダム経営はよくわかりますが、どのようにしてダム経営をすればよいのかを教えていただきたい」と質問したそうです。

幸之助氏が「ダム経営をしなければならないと思うことです」と答えたところ、会場には「なんだ、そんなことか」という雰囲気が漂ったとのこと。

しかし稲盛氏は、はっと気づかされたそうです。

「その時、私は本当にガツンと感じたのです。何か簡単な方法を教えてくれというような生半可な考えでは経営はできない。実現できるかできないかではなく、まず、そうありたい、こういう経営をしたいという強い願望を持つことが大切だ。そのことを松下さんは言っておられるのだ」と後に語っています。

”経営の哲学者” 稲盛和夫氏の原点

ところで稲盛氏が大変尊敬した松下幸之助氏は「経営の神様」と言われますが、稲盛和夫氏は「経営の哲学者」と言っていいのではないかと思います。

稲盛氏の経営哲学は自らの経営者としての体験を基にしたもので、全社員が同じ価値観を共有し、行動するための指針と言えます。

稲盛氏はその基本は「人間として正しいことをする」ことであり、これは昔から親が子供に言い聞かせた「嘘をつくな、正直であれ」「人に迷惑をかけるな」「人には親切にせよ」といった極めてプリミティブなことであると語っています。

最近、稲盛氏の経営の原点である「経営12か条、経営者として貫くべきこと」(日本経済新聞出版)を改めて読んでみました。

そのうちの一つに「売上を最大に伸ばし、経費は最小に抑える」があります。

創業当時、技術者の稲盛氏は経理を支援してくれていた会社の経理課長に月末に「今月の収支はどうでしたか」と尋ねると経理の専門用語を使って説明されるが難しくてよくわからなかったそうです。

そこで稲盛氏は「要するに、売り上げを最大に伸ばし、経費を最小に抑えることでよろしいのですね」と回答したとのこと。

このような体験から経営12か条の一つに加えたと語っています。

京セラの管理会計制度「アメーバ経営」とは

また、経営を行うためには、経営状況がリアルタイムでわかる管理会計の仕組みが必要であり、それはちょうど飛行機の操縦席でパイロットがコックピットを見て飛行するようなものであると言っています。

創業時の稲盛氏は製品開発、製造、営業と多忙を極めており、自分の分身が欲しいと強く思い、組織を10人程度の小さな集団(アメーバ)に分けた管理会計制度を作り上げました。

これが京セラのアメーバシステムで、アメーバのリーダーをすることで中小企業経営者のような感覚の従業員(アメーバの経営者)が育つことになりました。

京セラの売上が2兆円に迫る現在ではさすがに10人のアメーバで採算管理をするのは難しく、100人単位の部門管理になっているようですが、現在の京セラ社長の谷本秀夫氏は「アメーバシステムは従業員が主体的に提案する形で無駄を排除し生産性をあげる方法である」と語っています。

アタックスグループでは経営を見える化し全員参加で業績管理を進める仕組み作り、運用支援を行っています。

数字を使ってPDCAを回す仕組み、数字で経営を語り、実践できる幹部の育成を考えておられる経営者の方は声をお掛けください。

管理会計導入

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました