上場企業の2021年3月期決算発表が終わりました。
4兆9879億円という異次元の利益を上げたソフトバンクグループを除けば、上場企業1600社ほどの純利益合計は1%減だったそうです。
(日経新聞調べ)
ソニーや村田製作所、アドバンテストなどが利益を伸ばす一方で、JR3社や航空業界、旅行代理店や飲食業界などは大きな赤字を計上し、資本増強による穴埋めに動く会社も出始めています。
自動車メーカーだけを見てもトヨタやホンダは好決算、日産やマツダは大きな赤字と、まさにK字回復と言った様相を呈しています。
この2年ほどでしょうか。
お客様から
「変革や挑戦をテーマとして掲げ、経営幹部を巻き込む形で経営計画を策定したい」
というご相談を頂くことが増えています。
そのようなお客様をサポートしていて特徴として感じることが2つあります。
変革や挑戦を掲げる企業の特徴
1つ目は、それらのお客様がそれぞれの業界や市場で存在感を持ち、足許においても優秀な業績を上げている企業であることです。
現状、良いポジショニングに身を置き、競争優位を確立している企業が今、自己変革の必要性を強く感じておられるのです。
来たる大きな環境変化に照らしたとき、現在の経営や事業の強みだけでは戦えないという経営者の強い危機意識が根底にあるように思われます。
2つ目は、そのような企業や経営幹部でさえ必ずしも変革を議論することに慣れていないことです。
これまでの変革や挑戦の結果で得た成功やその強みについて熱く詳細に語る方は多くても、この先の変革や挑戦のビジョンについて語ることのできる方は決して多くないと実感しています。
変革や挑戦を経営や組織に組み入れて常態としていくことは、既存のビジネスで成功を勝ち取ることとは別種の難しさがあるということなのでしょう。
企業にとって極めて大切なテーマとは
テクノロジーとアルゴリズムの進化、地球環境に対する責任や資源の制約、グローバルな消費主義の変容などを見るに、今後は、不可逆的かつ指数関数的な変化が待ち受けており、まさに現在は、大きな変化の入り口にあるように感じています。
人材にしてもこれまでのように学習期から活躍期へといった一方向の流れだけでなく、変化の速さや大きさに対応していくために学習期と活躍期を繰り返す育成モデルも必要になってくることでしょう。
この20年に作り込んだ型やセオリーを磨き将来に向けて再現することだけではなく、組織や人材に、いかに変革や挑戦への意欲を駆り立てるダイナミズムを組み込んでいくかが、これからの企業経営にとって極めて大切なテーマになるのではないでしょうか。
リーマンショックからコロナ禍にある現在までセーフティーネット、公助的な政策が厚くなっているように感じますが、これまでの100年200年がそうであったように、世の中は、常にイノベーション無しには、持続も発展もありえません。
企業経営を持続発展させるために変革と挑戦を経営に意識的に組み入れていく、このような企業のお取り組みを私共も是非サポートさせて頂きたいと考えています。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 廣瀬 明
- 1968年生まれ。企業再生、財務・事業デューデリジェンス業務、M&A、株式公開のサポート等に従事。中堅中小企業への豊富な支援業務を通じて培った知識と経験を活かし、現在大阪事務所のプロジェクトマネージャーとして活躍中。
- 廣瀬明の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。