新型コロナの見過ごせない経営リスクとは!~社員の心身に与える影響

経営

新型コロナウイルス感染症に関して緊急事態宣言が政府によって発出され、一部の地域ではステージを変えた対策がとられつつあります。

2009年の新型インフルエンザを除いては、感染力・毒性の強い世界的な感染症への対処経験に乏しい我が国にとっては政官民共に未知との闘いとも言えるでしょう。

今回は、コロナ禍が経営に与える影響のうち社員の心身の健康に関することについて考えてみたいと思います。

コロナの影響による社員の働く環境

一つ目は社員の働く環境についてです。

ご存じのとおり、会社は
「社員が安全に労務を提供することができる環境を整備する」
ための合理的な配慮義務を負っています。

この指定感染症に対しては、
・科学的・医学的知見や予防・対処措置を把握すること
・これらにもとづく合理的な衛生上・業務上の対策を講ずること
・この対策を適切に実践すること
が雇用する側である会社には求められています。

公知となっている知見や推奨されている対策は、

・濃厚接触の回避
・混雑時を避けた時差出勤、自家用車等の使用の許容
・在宅勤務の推奨
・30分以上の会議の禁止
・対人距離の確保
・接触感染、飛沫感染の予防
・咳エチケットやマスク着用、手洗いの推奨
・施設の定期消毒
・ウェブ会議、電話会議等への切替
・出張の禁止
・発症時のリスク低減、迅速な初動
・社員の体温や体調の継続把握
・体調不良発生時の休暇推奨
・業務分散、執務環境の分離
・発症時の対応やレポートラインの明確化
・業務場所や接触者等の記録
・医療、保健衛生行政等従事者をご家族に持つ社員への配慮

などでしょうか。

衛生品やウェブ上のコミュニケーションを支援するツールやデバイス類はすでに大変売れていて、現在入手困難なものもあるようです。

しかしながら、緊急事態宣言発出が長期化することも視野に入れて、出来る限りの対応を行うという姿勢が求められます。

コロナの影響による社員のメンタルヘルス

二つ目はコロナ禍が社員のメンタルに与える影響についてです。

先日、イタリアの高校の校長先生が生徒に向けて発信したメッセージが新聞やSNSで拡散され話題になっていました。

「社会生活や人間関係を汚染するものこそが、新型コロナウイルスがもたらす最大の脅威だ」

大なり小なり、我々がいま感じていることそのものではないでしょうか。

テレビの情報番組やSNSで毎日大量の情報や意見が発信されており、その中には知見の怪しいもの、政府や自治体の対応に対する否定や非難色の強いものも多く含まれているように感じます。

ややもすれば「誰かを責めれば物事は解決する」という犯人探し、不謹慎狩り(ネット上の不謹慎と捉えられる情報に対して、過剰に反論したり、誹謗中傷したりすること)の風潮が高まりかねません。

一方で、私が個人的に聞くお話には、
「会社が在宅勤務を導入してくれない」
「上司が出張禁止の指示を出してくれない」
「一部の社員にだけテレワークが導入された」
「検温報告やマスク着用を守らない社員がいる」
「あの社員はこんな時期に顧客と会食をしている」
といったものが多くあります。

健康や生活、様々な自由・自律を脅かされるこの自然災害に対して、皆が様々な形で大きなストレスを感じています。

こういった風潮に社員が晒され、マイナスに感化されることのないために会社は積極的に情報を発信し、可能な範囲で、早め早めに対策を実行すべきだと思います。

この感染症はいずれ何らかの形で終息していくでしょう。
その過程では感染者や濃厚接触者が身近に発生するかも知れません。

コロナ禍は終息したものの会社や社員の相互信頼に大きなヒビが入ってしまったということでは、簡単に修復ができません。

適切で社会的要請の水準を満たす予防措置の実施や社員への継続的な情報発信、啓蒙、協力の要請などはとても大切なことです。企業の大小の問題ではありません。

私共アタックスグループも、常にお客様と相互に情報交換や協力をしながら、この未知の感染症に立ち向かっていきたいと思います。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 廣瀬 明
1968年生まれ。企業再生、財務・事業デューデリジェンス業務、M&A、株式公開のサポート等に従事。中堅中小企業への豊富な支援業務を通じて培った知識と経験を活かし、現在大阪事務所のプロジェクトマネージャーとして活躍中。
廣瀬明の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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