世界の衛生・環境・健康に貢献する -サラヤ株式会社

経営

西浦道明のメルマガ 2023年12月

2014年から、当メルマガでは自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載112回目の今回は、大阪府大阪市東住吉区で、家庭用及び業務用洗浄剤・消毒剤・うがい薬等の衛生用品と薬液供給機器等の開発・製造・販売などを行うサラヤ株式会社(以下、S社)の池クジラぶりを見ていきたい。

S社の創業は、1952年、現社長の父である更家章太氏(以下、S氏)が創業した。

以来、互いに密接な関係にある「衛生」「環境」「健康」という3つのキーワードを事業の柱とし、より豊かで実りある地球社会の実現を目指し、「世界の衛生・環境・健康に貢献する」ことをミッションに、信頼される優れた製品・サービスを提供し続けてきた。

S社が、自然にやさしい商品開発に取り組み続ける事業の原点は、S氏の生誕地である三重県熊野市にある。

生家は、三重県熊野市で代々林業を営んでおり、そんな熊野の山奥で清流の鮎や鰻、川海老を捕り、豊かな自然の恵みに育まれて成長した思い出が心の奥深く残り、それがS社のDNAとして、今も受け継がれている。

S氏は、ある紡績会社から「簡単に手洗いができるような石けんはないか」と言われた。

1952年当時、日本では約11万人が赤痢に罹患している中、その集団感染を防ぐため、手洗いや消毒のできる器具、薬剤を使うことで、手洗いをビジネス化することを考えた。

戦後まもない日本がとても貧しい中、「何とかして多くの人を平等に救えないか」との思いから、感染対策の基本である手洗いに着目し、手を洗うと同時に殺菌・消毒できる薬用石けん液と専用容器を日本で初めて発売した。

1971年、S社を代表するエコをコンセプトにした日本初の製品「ヤシノミ洗剤」を発売した。

当時は、高度経済成長期で、公害が社会問題となっていて、家庭排水による河川の水質汚濁が社会問題化していた時代で、環境にも手肌にも優しい天然の植物油で作った植物系原料による製品は注目を集め、ロングセラーとなった。

さらに、1979年には、手を液に浸すそれまでの手指消毒を飛躍的に進歩させた、アルコールを加えた消毒剤を噴霧する「ハンドサニターS」を発売した。

S社は自社単独での開発だけではなく、産学官連携による開発にも積極的に取り組んでいる。

例えば、大阪大学薬学研究科とタッグを組み、持続可能な科学技術を産み出し、人の健康に役立つ製品開発が目的の研究活動を行っている。

また、大阪大学歯学研究科とは、口腔環境を整えることで、人間の治癒力を最大限に生かしたQOLの向上を目指し、天然素材を用いた製品開発や口腔内メンテナンス法の検討および推進に取り組んでいる。

さらに、S社は衛生に関するサポートも徹底している。

飲食店からスーパーマーケット、食品工場や学校給食センターなどフードチェーンに関わるお客様の感染症・食中毒対策をはじめ、各種企業のオフィス・事業所や集客施設などの感染対策サポートを行う「衛生インストラクター」が100人以上いる。

S社は、「衛生」「環境」「健康」に関わる社会課題を解決し続けることでプロからも選ばれ、一般消費者はもちろん、医療・介護現場や公衆衛生、食品衛生も含めた幅広いお客様から高い評価を得てきた。

S社は、BtoBを中心とした、手洗い・手指消毒剤市場(池)のクジラになった。

  
  
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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