人生の大先輩を敬って護る敬護事業 -リハプライム株式会社

経営

西浦道明のメルマガ 2024年3月

2014年から、当メルマガでは自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載115回目の今回は、埼玉県さいたま市大宮区で、介護保険事業、外出支援事業、娘息子代行サービス事業、美容業、移動販売事業、パン製造販売、教育・人財事業、フランチャイズ事業、人材派遣事業、職業紹介事業を行うリハプライム株式会社(以下、R社)の池クジラぶりを見ていきたい。

小池修氏(以下、K氏)は、1989年、大学卒業後に大手不動産会社に入社し、グループ会社の役員にまでなったが、それまでの会社勤めに終止符を打ち、2011年、リハプライム株式会社を創業した。

社名には、「当たり前の生活を送ることが最上の喜び(プライム)、当たり前の生活を回復(リハビリ)しましょう、一生涯最上の喜びを手にしていきましょう」という想いが込められている。

K氏がこの事業を始めたのは、父親が肺がん、母親が脳梗塞と立て続けに病に倒れ、否応なく、両親を預ける施設を探すことになったのがきっかけだ。

K氏は、様々な施設を見て回ったが、両親を安心して預けられる施設はなかった。

K氏が見た施設の多くでは、人生の大先輩である利用者を「ちゃん」づけで呼び、親近感を出すためかタメ口を使っていたことに強烈な違和感・嫌悪感を覚えたからだ。

それならば、自ら施設をつくって、両親の介護をしていくしかないと思い立ち、手に入れたばかりの夢のマイホームや愛車を資金化し、家族の保険まで解約して3,000万円の開業資金を捻出し、2011年、実家近くにコンパスウォーク1号店をオープンした。

K氏には、母親を安心して預けるなら、介助して護る「介護」ではなく、人生の大先輩を敬って護る「敬護」でなければならないと考えた。

ここまで育てていただいた「御恩」に報いる「恩返し事業」を構築しなければならないと。

親と親世代の皆さんに「生きがい」「誇り」と「充実感」に満ちた生活を提供することで、私達が小さい時に、親や親世代の皆さんに守られ、育てていただいたことへの「恩返し」を日本の習慣にしたいという強い思いがある。

それゆえ、R社では、全ての利用者には敬語を使うことにしており、「自分の母親が喜んでくれるサービスだろうか?」と自問自答を繰り返し続けている。

K氏が、その理念を実現するために取り組んだのが、「コンパスヴィレッジ構想」だった。

敬護という想いをもったスタッフによる「シニアの在宅生活」をサポートするために、400~500mの範囲で展開する小規模で、顔の見える「地域包括システム」づくりなのだ。

利用者の「自分が歳をとったら、同年代の年寄りばかりを集めた、コンクリートでできた施設の中で暮らすのか?」「体が不自由になると、ずっと周りに気を使って、行きたいときに 行きたいところへ行くこともできなくなるのか?」「体の自由が利かなくても、なお、自分のペースで、わがままに、楽しく生きていけないか?」という、利用者さんの数々の思いを叶えるべく、大切な人が最後の最後まで、住み慣れた地域で、思い出が詰まった自宅で、その方らしい生活を送ることができる、そんな社会の実現を目指している。

その実現のためには、当然、デイサービスだけでは十分ではなく、母親をペルソナに、歩行の回復に特化したリハビリ型デイサービスの「コンパスウォーク」、訪問看護・訪問介護など介護保険を利用したサービス、自費サービス事業となる便利屋サービス、シニアに優しい美容室、喫茶店、生はちみつ食パン販売、移動スーパーなどを次々と構想し、事業展開していった。

R社は、介護の業界に、「利用者に対して関心を持ち、感謝し、貢献する」という相手を敬うための「3K(3敬)」の考えを持ち込むことで、お客様から高い評価・信頼を得た。R社は、「敬護」により、人生の大先輩を敬って護る敬護事業(池)のクジラとなっている。

  
  
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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